当科における院内感染対策の検討 感染症検査の必要性について

院内感染対策としてスタンダードプレコーションが行われているが, この概念を前提とすると個別の感染症検査は不要との帰結になり得る. しかし, 個別の感染症検査を実施する必要性の是非については明らかではない. そこで, 当科の実態を調査し, 検討したので報告する. 対象: 2005年4月, 7月から9月の合計4か月間に当科を受診した2,460名, 延べ処置数は6,514処置である. 方法: 梅毒 (TP, RPR定性, 定量) B型肝炎 (HBs抗原) およびC型肝炎 (HCV抗体) の陽性者数を調査した. 結果: 感染症の有無が把握できた人数は1,043名 (42.4%), 処置数は延べ3,64...

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Published in有病者歯科医療 Vol. 15; no. 3; pp. 131 - 137
Main Authors 村井, 英俊, 増田, 千恵子, 岡田, とし江, 鈴木, 裕美, 見崎, 徹, 天野, 優子, 大橋, 瑞己, 神谷, 里枝, 太尾, 恵子, 中島, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本有病者歯科医療学会 31.12.2006
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ISSN0918-8150
1884-667X
DOI10.11255/jjmcp1992.15.131

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Summary:院内感染対策としてスタンダードプレコーションが行われているが, この概念を前提とすると個別の感染症検査は不要との帰結になり得る. しかし, 個別の感染症検査を実施する必要性の是非については明らかではない. そこで, 当科の実態を調査し, 検討したので報告する. 対象: 2005年4月, 7月から9月の合計4か月間に当科を受診した2,460名, 延べ処置数は6,514処置である. 方法: 梅毒 (TP, RPR定性, 定量) B型肝炎 (HBs抗原) およびC型肝炎 (HCV抗体) の陽性者数を調査した. 結果: 感染症の有無が把握できた人数は1,043名 (42.4%), 処置数は延べ3,647回 (56.0%) で, 感染症の内訳は, 梅毒23名 (2.2%), 56回, B型肝炎18名 (1.7%), 54回, C型肝炎56名 (5.4%), 138回であった. 患者の陽性率の合計は9.3%で, 問診結果の1.8%に比べると高率で, 問診では感染症を把握しきれないことが示された. 結語: 本研究の結果から問診では把握できない感染症が存在したことから, 歯科・口腔外科診療ではスタンダードプレコーションと感染症検査を行った後に観血処置を行う必要があると考えられた.
ISSN:0918-8150
1884-667X
DOI:10.11255/jjmcp1992.15.131