脾門リンパ節, 脾動脈幹リンパ節の郭清に際しての膵脾合併切除の必要性

膵脾合併切除 (PS) をしなくても脾門リンパ節 (No.(10)) と脾動脈幹リンパ節 (No.(11)) の郭清が可能であることを証明する目的で, リンパ節転移陽性例の術式別術後生存率の比較と組織学的なリンパ節遺残の有無を検討した.1981~1990年の胃癌切除例のうちNo.(10) とNo.(11) に組織学的に転移を認めたのは76例と82例であった. No.(10) 転移陽性76例の5年累積生存率は, 摘脾 (+) 38例が10.7%, PS (+) 21例が17.9%, PS (-) 17例が17.6%で差がなく, No.(11) 転移陽性82例の5年累積生存率も, PS (+) 1...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 7; pp. 1778 - 1785
Main Authors 坂本, 純一, 平井, 孝, 上坂, 克彦, 安江, 満悟, 鳥井, 彰人, 紀藤, 毅, 山村, 義孝, 森本, 剛史, 安井, 健三, 加藤, 知行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.1994
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.27.1778

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Summary:膵脾合併切除 (PS) をしなくても脾門リンパ節 (No.(10)) と脾動脈幹リンパ節 (No.(11)) の郭清が可能であることを証明する目的で, リンパ節転移陽性例の術式別術後生存率の比較と組織学的なリンパ節遺残の有無を検討した.1981~1990年の胃癌切除例のうちNo.(10) とNo.(11) に組織学的に転移を認めたのは76例と82例であった. No.(10) 転移陽性76例の5年累積生存率は, 摘脾 (+) 38例が10.7%, PS (+) 21例が17.9%, PS (-) 17例が17.6%で差がなく, No.(11) 転移陽性82例の5年累積生存率も, PS (+) 19例が10.5%, PS (-) 63例が12.8%で差がなかった.また, No.(10), No.(11) の “すだれ状郭清” の後にPSを行い, 遺残リンパ節の有無を調べた.9例中1例にNo.(10) が, 3例にNo.(11) が各1個ず つ遺残していたが, いずれも直径0.5~1mmと小さく, 癌の転移を認めなかった. 以上より, No.(10) とNo.(11) の完全郭清のためにはPSが必要であるが, PSをしなくても予防的郭清は可能であり臨床上有用な方法と考えた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.27.1778