劇症肝炎患者血漿による初代分離培養肝細胞のコラーゲン産生

劇症肝炎患者血漿を含む培養液で,ラット初代分離肝細胞を培養し,肝細胞によるコラーゲン産生について検討した.培養開始後6時間以内の早期に肝細胞より連続する線維状構造物を認めた.この線維は,Mallory-Azan染色,鍍銀染色にて陽性で,抗コラーゲン抗体を用いた蛍光抗体間接法ではType IIIに陽性であった.電顕的観察では,肝細胞内のRER, vesicleは著明に増加しており,microvilli起始部の陥凹部にて線維形成像が認められた.線維は,直径が120nmで明暗帯の格子状周期が明瞭に観察された.線維は,コラゲナーゼ処理ににて完全に消去された.3H-prolineのautoradiogr...

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Published in肝臓 Vol. 29; no. 2; pp. 173 - 181
Main Authors 吉武, 正男, 谷川, 久一, 上野, 隆登, 野口, 和典, 権藤, 和久, 安倍, 弘彦, 岩城, 義博, 古賀, 郁利子, 釈迦堂, 敏, 犬塚, 貞孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.02.1988
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.29.173

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Summary:劇症肝炎患者血漿を含む培養液で,ラット初代分離肝細胞を培養し,肝細胞によるコラーゲン産生について検討した.培養開始後6時間以内の早期に肝細胞より連続する線維状構造物を認めた.この線維は,Mallory-Azan染色,鍍銀染色にて陽性で,抗コラーゲン抗体を用いた蛍光抗体間接法ではType IIIに陽性であった.電顕的観察では,肝細胞内のRER, vesicleは著明に増加しており,microvilli起始部の陥凹部にて線維形成像が認められた.線維は,直径が120nmで明暗帯の格子状周期が明瞭に観察された.線維は,コラゲナーゼ処理ににて完全に消去された.3H-prolineのautoradiographyでは,grainは線維上に認められた.この線維産生は,10-9mol以上のデキサメサゾンの添加で抑制された.以上のことより,急激で広範な肝細胞障害時の血中にには,肝細胞に対するコラーゲン産生刺激因子が存在すると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.29.173