実験的急性肝障害モデルにおける脾臓の役割に関する研究

Propionibacterium acnes (P. acnes)をラットに投与すると,肝臓,脾臓に形態学的に類似した単核細胞の浸潤,増生が出現し,少量のlipopolysaccharide (LPS)の追加投与により,広範な肝細胞壊死が出現する.そのモデルを用い,肝細胞障害発現における脾臓の役割を解析した.P. acnes投与前後に脾摘すると,LPS投与後の肝障害は著明に抑制され,P. acnes投与後の脾臓の単核細胞特に粘着性細胞をP. acnes投与後の同系ラットにLPSとともに門脈り移入すると,強い肝障害が出現した.これらの脾臓単核細胞は,PHAに対する幼若化反応は低く,NK, LA...

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Published in肝臓 Vol. 30; no. 5; pp. 559 - 566
Main Authors 大越, 裕文, 銭谷, 幹男, 河辺, 朋信, 奥山, 早苗, 佐多, 斉, 高橋, 宏樹, 根岸, 正史, 渡辺, 文時, 宮崎, 寛, 青山, 南圭, 嵐山, 恭志, 安藤, 秀樹, 高橋, 弘, 清水, 能一, 相沢, 良夫, 伊坪, 真理子, 飛鳥田, 一朗, 亀田, 治男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.05.1989
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Summary:Propionibacterium acnes (P. acnes)をラットに投与すると,肝臓,脾臓に形態学的に類似した単核細胞の浸潤,増生が出現し,少量のlipopolysaccharide (LPS)の追加投与により,広範な肝細胞壊死が出現する.そのモデルを用い,肝細胞障害発現における脾臓の役割を解析した.P. acnes投与前後に脾摘すると,LPS投与後の肝障害は著明に抑制され,P. acnes投与後の脾臓の単核細胞特に粘着性細胞をP. acnes投与後の同系ラットにLPSとともに門脈り移入すると,強い肝障害が出現した.これらの脾臓単核細胞は,PHAに対する幼若化反応は低く,NK, LAK活性も認められなかった.この脾臓の粘着性細胞のLPS添加培養後の培養上清は,正常肝細胞に対し強い細胞障害性を示した.以上より,この肝障害の誘導には,脾臓が密接に関与しており,特にLPS刺激により肝細胞障害能を発揮するP. acnes投与後に増生した脾臓の粘着性細胞が重要な役割を果していることが示された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.30.559