肺全摘後気管支瘻の治療 : 有茎性大網充填法の有用性について

1978年4月から1992年3月までに当教室で行なった肺全摘術例104例中11例 (10.6%) に術後気管支瘻が発生した.右側は左側に比べ有意に (p=0.017) 高率に発生したが, 疾患による発生率の差はなかった.発生時期は11例中5例が後術1週間以内で, 全例が1ヵ月以内に発生していた.11例中4例 (36.4%) が死亡し7例が治療に成功し退院が可能となった.治療法としては大網充填法が有効であり5例全例に成功した.感染を合併しない場合一期的瘻孔閉鎖, 大網充填により, 感染を合併する場合は開放療法により膿胸腔を浄化した後大網充填を行なうことにより良好な結果を得ることができた.また膿胸...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 7; no. 5; pp. 519 - 523
Main Authors 八木, 一之, 水野, 浩, 横見瀬, 裕保, 乾, 健二, 人見, 滋樹, 小林, 淳, 和田, 洋巳, 青木, 稔
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.1993
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.7.519

Cover

More Information
Summary:1978年4月から1992年3月までに当教室で行なった肺全摘術例104例中11例 (10.6%) に術後気管支瘻が発生した.右側は左側に比べ有意に (p=0.017) 高率に発生したが, 疾患による発生率の差はなかった.発生時期は11例中5例が後術1週間以内で, 全例が1ヵ月以内に発生していた.11例中4例 (36.4%) が死亡し7例が治療に成功し退院が可能となった.治療法としては大網充填法が有効であり5例全例に成功した.感染を合併しない場合一期的瘻孔閉鎖, 大網充填により, 感染を合併する場合は開放療法により膿胸腔を浄化した後大網充填を行なうことにより良好な結果を得ることができた.また膿胸腔の浄化が不可能な症例に対しても胸成術, 筋肉弁充填を併用することにより対処が可能であった.全摘後気管支瘻症例は瘻孔閉鎖に失敗した場合は全例死亡しており, 大網充填法を中心とした適確な治療が必要と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.7.519