出血性ショックにおける人工血液 (Fluosol-DA)の効果 特に循環機能に及ぼす影響について

適合輸血血液入手遅延や輸血拒否等の理由で輸血不可能な急性出血性ショック患者9例に、輸血用血液を入手する迄、或は説得して輸血を受けさせる迄の間、人工血液Fluosol-DA 20%を900~1500ml投与した。このうちSwan-Ganz catheterを挿入しえた5例について、Fluosol-DAの循環機能に及ぼす影響をretrospectiveに検索し以下の結論を得た。1) Fluosol-DAの投与により全例血圧、心拍数が正常化し、手術を可能にした。2) 左心系ではCI、LWの上昇TPRの極端な低下などhyperdynamic patternを示し、一方右心系ではRAP、PAP、PARの...

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Published in人工臓器 Vol. 16; no. 3; pp. 1543 - 1546
Main Authors 薄場, 彰, 元木, 良一, 井上, 仁, 遠藤, 幸男, 三浦, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.06.1987
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Summary:適合輸血血液入手遅延や輸血拒否等の理由で輸血不可能な急性出血性ショック患者9例に、輸血用血液を入手する迄、或は説得して輸血を受けさせる迄の間、人工血液Fluosol-DA 20%を900~1500ml投与した。このうちSwan-Ganz catheterを挿入しえた5例について、Fluosol-DAの循環機能に及ぼす影響をretrospectiveに検索し以下の結論を得た。1) Fluosol-DAの投与により全例血圧、心拍数が正常化し、手術を可能にした。2) 左心系ではCI、LWの上昇TPRの極端な低下などhyperdynamic patternを示し、一方右心系ではRAP、PAP、PARの低下などhypohydrationを示し、極めて不安定な循環動態であった。3) hypohydrationにもかかわらずPWPは正常かやや上昇した。4) 全例輸血により安定した循環動態へ移行した。以上よりFluosol-DAの投与に際しては厳重な循環管理と一刻も早く輸血に切り換えることが必要と思われた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.16.1543