原発性胆汁性肝硬変における自己胆管上皮細胞に対する脾臓由来の細胞傷害性T細胞活性の測定

原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者の脾臓リンパ球の自己胆管上皮細胞に対する細胞傷害活性を測定する系を確立し,胆管上皮細胞の傷害機序を検討した.PBC 3症例の脾臓リンパ球は自己胆管上皮細胞に対して全例が細胞傷害活性を示したが,対照疾患6症例は全例細胞傷害活性を示さなかった.細胞傷害活性はT細胞分画に検出され,non-T細胞分面には検出されなかった.T細胞の細胞傷害活性はnegative depletionよりCD8陽性細胞集団に検出され,抗MHC class I抗体添加により部分的抑制を認め,細胞傷害活性の発現にMHC class I抗原の関与が示唆された.またT細胞傷害活性は抗胆管上皮抗体添加...

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Published in肝臓 Vol. 32; no. 6; pp. 596 - 603
Main Authors 大西, 三朗, 西原, 利治, 山本, 泰猛, 中田, 収作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.06.1991
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.32.596

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Summary:原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者の脾臓リンパ球の自己胆管上皮細胞に対する細胞傷害活性を測定する系を確立し,胆管上皮細胞の傷害機序を検討した.PBC 3症例の脾臓リンパ球は自己胆管上皮細胞に対して全例が細胞傷害活性を示したが,対照疾患6症例は全例細胞傷害活性を示さなかった.細胞傷害活性はT細胞分画に検出され,non-T細胞分面には検出されなかった.T細胞の細胞傷害活性はnegative depletionよりCD8陽性細胞集団に検出され,抗MHC class I抗体添加により部分的抑制を認め,細胞傷害活性の発現にMHC class I抗原の関与が示唆された.またT細胞傷害活性は抗胆管上皮抗体添加により濃度依存性に抑制された.以上の成績は,PBCの自己免疫機序による胆管上皮細胞傷害に,より直接的な根拠を与えるものと考えられる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.32.596