門脈圧亢進症, 小腸狭窄を合併した抗リン脂質抗体症候群の1例
肝の結節性再生性過形成により, 非硬変性門脈圧亢進症を呈し, 上腸間膜静脈の血栓症が原因で小腸狭窄をきたした抗リン脂質抗体症候群の1例を経験した. 症例は56歳, 女性. 主訴は吐血. 入院時両下腿皮膚潰瘍, 脾腫を認めた. 食道胃内視鏡にて食道静脈瘤を認めたため硬化療法を施行. その後静脈瘤は消失したが, イレウス症状が出現. 保存的療法で軽快しないため, 空腸切除, 肝生検術を施行した. 肝表面は平滑で肝両葉に多発する1~3cm大の結節を認め, 術中門脈造影では上腸間膜静脈は閉塞し, 門脈本幹と肝内門脈枝は側副血行路を介して造影された. 組織学的には, 小腸腸間膜および小腸壁内に血栓性静脈...
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Published in | 肝臓 Vol. 38; no. 7; pp. 452 - 457 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.07.1997
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.38.452 |
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Summary: | 肝の結節性再生性過形成により, 非硬変性門脈圧亢進症を呈し, 上腸間膜静脈の血栓症が原因で小腸狭窄をきたした抗リン脂質抗体症候群の1例を経験した. 症例は56歳, 女性. 主訴は吐血. 入院時両下腿皮膚潰瘍, 脾腫を認めた. 食道胃内視鏡にて食道静脈瘤を認めたため硬化療法を施行. その後静脈瘤は消失したが, イレウス症状が出現. 保存的療法で軽快しないため, 空腸切除, 肝生検術を施行した. 肝表面は平滑で肝両葉に多発する1~3cm大の結節を認め, 術中門脈造影では上腸間膜静脈は閉塞し, 門脈本幹と肝内門脈枝は側副血行路を介して造影された. 組織学的には, 小腸腸間膜および小腸壁内に血栓性静脈炎を認め, 肝組織は結節性再生性過形成と門脈周囲の軽度~中等度の線維化の所見を認めた. 抗cardiolipin抗体IgGが陽性であり, 抗リン脂質抗体症候群と考えられた. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.38.452 |