急性肝炎の病態で発症,9年後の再燃により診断された自己免疫性肝炎(ルポイド型)の1例

42歳の女性,急性肝炎様に発症,γ-gl, IgGとも正常,HA抗体(IgG)が陽性,HBVマーカー陰性,自己抗体は抗核抗体(160×)のみ陽性,肝生検組織所見では,著しい中心性壊死がみられたが,piecemeal necrosisなど慢性活動性肝炎(CAH)の所見は認められなかった.しかし,経過遷延傾向のため使用したステロイドに良く反応し,トランスアミナーゼ値は正常化し,ステロイドは中止された. 以後,外来でフォロー中,9年後に再び急性発症,抗核抗体上昇(640×), LE細胞陽性,肝生検でも中心性壊死とともにCAHの所見が認められた.HCV RNAを含めHBV, HCVマーカーは陰性であっ...

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Published in肝臓 Vol. 35; no. 5; pp. 382 - 387
Main Authors 荒牧, 琢己, 勝田, 悌実, 鈴木, 郁代, 里村, 克章, 上田, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.05.1994
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.35.382

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Summary:42歳の女性,急性肝炎様に発症,γ-gl, IgGとも正常,HA抗体(IgG)が陽性,HBVマーカー陰性,自己抗体は抗核抗体(160×)のみ陽性,肝生検組織所見では,著しい中心性壊死がみられたが,piecemeal necrosisなど慢性活動性肝炎(CAH)の所見は認められなかった.しかし,経過遷延傾向のため使用したステロイドに良く反応し,トランスアミナーゼ値は正常化し,ステロイドは中止された. 以後,外来でフォロー中,9年後に再び急性発症,抗核抗体上昇(640×), LE細胞陽性,肝生検でも中心性壊死とともにCAHの所見が認められた.HCV RNAを含めHBV, HCVマーカーは陰性であった.回顧的には当初より自己免疫性肝炎(AIH)であったと思われるが,発症急性期の診断上の問題や,9年という長期間の寛解,中心性壊死の意義など,AIHの病態を考察するうえで,興味ある例と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.35.382