血漿分離用セラミック膜からの溶出物

セラミック膜を用いて血漿分離を行う場合に問題となる膜構成成分の溶出について検討した。水、1N硝酸、500ppm次亜塩素酸ナトリウム、牛血漿を用い、厚生省の「透析型人工腎臓装置承認基準」に従い溶出試験を行った。アルミナ焼結体よりなるセラミック膜では、いずれの場合も膜構成成分の溶出は認められなかった。多孔質ガラスの場合、硝酸による溶出試験を行うと製膜時に細孔内に残留したコロイド状シリカが溶出してくるが、次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合は膜のシリカ骨格からも溶出が起こることがわかった。また血漿への膜構成成分の溶出を調べた結果、AIは検出されなかったが、Siについてはサンプル1g当り85-370μg、...

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Published in人工臓器 Vol. 16; no. 2; pp. 1116 - 1119
Main Authors 酒井, 清孝, 桜井, 秀彦, 小沢, 喜久夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.04.1987
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.16.1116

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Summary:セラミック膜を用いて血漿分離を行う場合に問題となる膜構成成分の溶出について検討した。水、1N硝酸、500ppm次亜塩素酸ナトリウム、牛血漿を用い、厚生省の「透析型人工腎臓装置承認基準」に従い溶出試験を行った。アルミナ焼結体よりなるセラミック膜では、いずれの場合も膜構成成分の溶出は認められなかった。多孔質ガラスの場合、硝酸による溶出試験を行うと製膜時に細孔内に残留したコロイド状シリカが溶出してくるが、次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合は膜のシリカ骨格からも溶出が起こることがわかった。また血漿への膜構成成分の溶出を調べた結果、AIは検出されなかったが、Siについてはサンプル1g当り85-370μg、Bについては0-50μgの溶出が認められた。今回はICP発光分析法による血漿の直接定量を試みたが、今後は湿式灰化法などの分析法の検討を行うと共に、膜表面に有機物をコーティングするなどの表面改質を考えていく必要がある。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.16.1116