腎性上皮小体機能亢進症を有する透析患者における骨組織の臨床病理学的検討

慢性腎不全にて血液透析を施行中の患者で腎性上皮小体機能亢進症が認められた11例にtotal parathyroidectomy+autotransplantation (TPTX+AT) を行った. TPTX+AT術前にdesferrioxamine (DFO) テストを行うとともに腸骨骨生検を施行し, 得られた骨組織においてアルカリコンゴレッド染色, アルミノン染色, ベルリンブルー染色を行いアミロイド (Am), アルミニウム (Al), 鉄 (Fe) の沈着の有無を検討した. 同時に骨代謝の指標として血清高感度parathyroid hormone (HS-PTH), Bone Gla...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 6; pp. 1151 - 1155
Main Authors 桑原, 守正, 降幡, 睦夫, 大朏, 祐治, 西谷, 真明, 中村, 晃二, 松下, 和弘, 藤崎, 伸太, 橋本, 寛文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.06.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1151

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Summary:慢性腎不全にて血液透析を施行中の患者で腎性上皮小体機能亢進症が認められた11例にtotal parathyroidectomy+autotransplantation (TPTX+AT) を行った. TPTX+AT術前にdesferrioxamine (DFO) テストを行うとともに腸骨骨生検を施行し, 得られた骨組織においてアルカリコンゴレッド染色, アルミノン染色, ベルリンブルー染色を行いアミロイド (Am), アルミニウム (Al), 鉄 (Fe) の沈着の有無を検討した. 同時に骨代謝の指標として血清高感度parathyroid hormone (HS-PTH), Bone Gla protein (OC), アルミニウム (Al), フェリチン (Ft), アルカリフォスファターゼ (Alp) 値などを測定しAm, Al, Fe沈着との関係を検討した. Alの沈着は11例中5例に見られ, この5例中1例は術前のDFOテストでは陰性であった. Feの沈着は11例中2例に, Amの沈着は11例中2例に認められた. Am, Al, Feの沈着と血清β2-MG, Al, Ft値との間に相関は認められなかった. 血清Alp値は11例中8例で正常範囲内であり, 一方, 血清OC値は全例で有意に上昇しており腎性上皮小体機能亢進症の診断の指標として役立つことが示唆された. TPTX+AT術後における合併症としてのアルミニウム骨症の発症は重要な問題であるが, 今回の検討ではAlのみならずAmやFeまでもが骨組織に沈着していることが判明した. これらAm, AlおよびFeの骨組織への沈着は, 将来何等かの要因が加わり骨病変を顕性化させる可能性を示唆するものであり, TPTX+AT術前における骨生検の重要性が示唆された.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1151