肝線維化における伊東細胞の膠原線維産生能-ヒト肝生検材料 を用いた光顕・電顕オートラジオグラフィーによる検討
ヒトの肝線維化における伊東細胞のcollagen産生能を検討するため各種肝疾患の肝生検材料を3H-prolineをtracerとした光顕・電顕オートラジオグラフィー(ARG)で観察した.針生検又は切除ににより得られた肝組織(22症例)を採取後直ちに細切し,3H-proline 200μCi/mlを含む培養液中で37℃,1時間培養後,更に6時間chaseした.組織は2重固定,エポン包埋後薄切し,光顕及び電顕ARG(2-6週間露出)を施行した.1時間標識ではpiecemeal necrosis部の伊東細胞や門脈域の線維芽細胞上に限局した銀粒子の強い集積が見られ,肝細胞や胆管上皮にも多数の銀粒子が認...
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Published in | 肝臓 Vol. 29; no. 5; pp. 643 - 650 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.05.1988
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.29.643 |
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Summary: | ヒトの肝線維化における伊東細胞のcollagen産生能を検討するため各種肝疾患の肝生検材料を3H-prolineをtracerとした光顕・電顕オートラジオグラフィー(ARG)で観察した.針生検又は切除ににより得られた肝組織(22症例)を採取後直ちに細切し,3H-proline 200μCi/mlを含む培養液中で37℃,1時間培養後,更に6時間chaseした.組織は2重固定,エポン包埋後薄切し,光顕及び電顕ARG(2-6週間露出)を施行した.1時間標識ではpiecemeal necrosis部の伊東細胞や門脈域の線維芽細胞上に限局した銀粒子の強い集積が見られ,肝細胞や胆管上皮にも多数の銀粒子が認められた.6時間chaseでは標識伊東細胞や線維芽細胞近傍の膠原線維上にも銀粒子は分布し,標識蛋白の移動が示された.ヒトの門脈域の肝線維化では線維芽細胞のほか,伊東細胞も膠原線維産生能を有すると考えられる. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.29.643 |