肉芽腫性皮膚病変を合併した原発性胆汁性肝硬変症の1例

下腿伸側に結節性紅斑様皮疹が出現し,病理組織学的に肉芽腫病変の合併が確認された原発性胆汁性肝硬変症(PBC)の1例を報告した.症例は55歳の女性で,皮膚掻痒感と肝機能障害を主訴にして来院した.血沈の亢進,高γ-グロブリン血症,胆管系酵素とIgMの上昇などを認めるも,AMAは陰性であった.肝針生検組織では,門脈域が慢性炎症性反応と線維増生とにより若干拡大し,さらに巨細胞を伴う肉芽腫がみられた.PBCの疑診の下に経過観察中であったが,その後AMAが320倍に陽性となった.初診時から1年後に食道静脈瘤の破裂により消化管出血をきたし,食道離断術と摘脾術を受けたが,その際のsurgical wedge...

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Published in肝臓 Vol. 25; no. 1; pp. 109 - 115
Main Authors 尾崎, 隆彦, 松尾, 裕, 宮本, 正俊, 柄沢, 勉, 本田, 利男, 内田, 俊和, 天木, 秀一, 荒川, 泰行, 小林, 聖明, 志方, 俊夫, 宮本, 明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.01.1984
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.25.109

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Summary:下腿伸側に結節性紅斑様皮疹が出現し,病理組織学的に肉芽腫病変の合併が確認された原発性胆汁性肝硬変症(PBC)の1例を報告した.症例は55歳の女性で,皮膚掻痒感と肝機能障害を主訴にして来院した.血沈の亢進,高γ-グロブリン血症,胆管系酵素とIgMの上昇などを認めるも,AMAは陰性であった.肝針生検組織では,門脈域が慢性炎症性反応と線維増生とにより若干拡大し,さらに巨細胞を伴う肉芽腫がみられた.PBCの疑診の下に経過観察中であったが,その後AMAが320倍に陽性となった.初診時から1年後に食道静脈瘤の破裂により消化管出血をきたし,食道離断術と摘脾術を受けたが,その際のsurgical wedge biopsyではCNSDC (Rubinら)に合致する病理組織所見が示された.さらに1年後に発熱と下腿伸側に結節性紅斑様皮疹が出現し,皮膚生検により,先の肝生検で観察されたのと類似の肉芽腫性病変が皮膚真皮層と皮下脂肪織にも認められ,PBCと同じ病因によって生じた可能性が示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.25.109