ビリルビン代謝機構の研究-胆汁中ビリルビングルクロナイドの排泄に影響する因子の分析

胆汁中bilirubin monoglucuronide (BMG), bilirubin diglicuronide (BDG)比の異なる二系統のラットを比較することにより,bilirubin (BR)代謝機構を検討した. 1) 通常のWistarラットでは胆汁中BMGとBDGとはほぼ同量であるのに対し,Wistar Kyoto系ラットではBDGが総胆汁色素の約90%と有意に多い.2)肝ミクロソームを用いたUDP-glucuronyltransferase (UDPGT)活性の測定では,BDG, BMG生成活性ともWistar Kyoto系ラットが高かった.3)両系ラットにBRを負荷し,血中...

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Published in肝臓 Vol. 29; no. 4; pp. 506 - 513
Main Author 栗栖, 寛子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.04.1988
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Summary:胆汁中bilirubin monoglucuronide (BMG), bilirubin diglicuronide (BDG)比の異なる二系統のラットを比較することにより,bilirubin (BR)代謝機構を検討した. 1) 通常のWistarラットでは胆汁中BMGとBDGとはほぼ同量であるのに対し,Wistar Kyoto系ラットではBDGが総胆汁色素の約90%と有意に多い.2)肝ミクロソームを用いたUDP-glucuronyltransferase (UDPGT)活性の測定では,BDG, BMG生成活性ともWistar Kyoto系ラットが高かった.3)両系ラットにBRを負荷し,血中クリアランス,胆汁中排泄および肝内分布を調べた結果,Wistar Kyoto系ラットでは,肝ミクロソームからのBMGの解離速度が遅く,従って胆汁中BMG濃度が低いことが確認された.4)BMG投与後の胆汁中排泄パターンから,Wistarラットのみ投与BMGからの新たなBDG生成を認め,細胞内移送,UDPGTおよびUDPGT周囲の環境にも差があると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.29.506