胃癌における還流血carcinoembryonic antigen (CEA) 値ならびに還流末梢血CEA較差と予後との関連

免疫組織化学的にcarcinoembryonic antigen (以下CEAと略) の局在を確認した胃癌切除39例を対象として, 腫瘍還流静脈血中CEA値 (dCEA) ならびに還流血と末梢血とのCEA較差 (d-pCEA較差) と術後患者の転帰との関連を検討した.dCEAの平均値と5ng/ml以上の陽性率は生存26例では17ng/ml・39%, 癌死13例では227ng/ml・77%であり, 死亡例は生存例に比べ陽性率は高い傾向にあり, 平均値は有意に高値を示した.死亡例のd-pCEA較差の平均値199ng/mlは生存例の15ng/mlよりも有意に高値であった.dCEA陽性20例の生存率曲...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 9; pp. 2185 - 2190
Main Authors 斎藤, 洋一, 出口, 浩之, 多淵, 芳樹, 今西, 築
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.1990
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.23.2185

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Summary:免疫組織化学的にcarcinoembryonic antigen (以下CEAと略) の局在を確認した胃癌切除39例を対象として, 腫瘍還流静脈血中CEA値 (dCEA) ならびに還流血と末梢血とのCEA較差 (d-pCEA較差) と術後患者の転帰との関連を検討した.dCEAの平均値と5ng/ml以上の陽性率は生存26例では17ng/ml・39%, 癌死13例では227ng/ml・77%であり, 死亡例は生存例に比べ陽性率は高い傾向にあり, 平均値は有意に高値を示した.死亡例のd-pCEA較差の平均値199ng/mlは生存例の15ng/mlよりも有意に高値であった.dCEA陽性20例の生存率曲線は陰性19例よりも有意に不良で, 3年生存率は前者45%・後老78%であった.また, d-pCEA較差5ng/ml以上を示す16例の生存率曲線はそれ未満の23例よりも有意に不良で, 3年生存率は前者50%・後者69%であった.これらの結果は, dCEA定量が胃癌患者の予後の推定に有用であり, dCEAおよびd-pCEA較差が5ng/ml以上の症例は予後不良例として臨床的に対処する必要があると考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.23.2185