PCR-SSP法を用いたHPA遺伝子タイピングの検討
<目的> 現在, 当センターにおける血小板登録者及び医療機関からの依頼検査の血小板型タイピングは, MPHA法による血清学的検査と市販キットによる遺伝子学的検査を主体としている. しかし, 近年血小板抗体の抗血清の入手が極めて困難な状況であり, 更に依頼検査においては検査に十分な血液量が得られないなど遺伝子学的検査に頼らざるを得ない状況が多い. そこで現在HLAを始め様々な血液型のタイピングに広く用いられているPCR-SSP法を当センターの血小板検査にも導入し, HPA-1~5を同時により簡便にタイピングすることを試みた. <方法> 血液型検査用検体のBuffy coatよりPK処理~フェノー...
Saved in:
Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 231 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.2001
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
Cover
Summary: | <目的> 現在, 当センターにおける血小板登録者及び医療機関からの依頼検査の血小板型タイピングは, MPHA法による血清学的検査と市販キットによる遺伝子学的検査を主体としている. しかし, 近年血小板抗体の抗血清の入手が極めて困難な状況であり, 更に依頼検査においては検査に十分な血液量が得られないなど遺伝子学的検査に頼らざるを得ない状況が多い. そこで現在HLAを始め様々な血液型のタイピングに広く用いられているPCR-SSP法を当センターの血小板検査にも導入し, HPA-1~5を同時により簡便にタイピングすることを試みた. <方法> 血液型検査用検体のBuffy coatよりPK処理~フェノール処理~エタノール沈殿にてDNAを抽出し, DNA量100ng/μl前後になるように調整した. NIBSCによる文献及び第10回JPWSにて実施した資料をもとにprimerを作成し, 96穴のマイクロプレートを用い, PE9700にて増幅したもので判定できるように条件を調整していった. 10%アクリルアミドゲルにて200Vで40分泳動し, 1%エチジウムブロマイドにて10分染色後UVイルミネーターを用いて撮影し, バンドの有無を確認した. (検体は予めMPHA法及び市販キットにてタイピングしたものを任意に複数選んで使用した. ) <結果および考察> 各検体ともHPA-1~5の増幅バンドが検出され, 他法と比べ結果の相違はみられなかった. 当初は同一条件下でもサーマルサイクラーの機種によって検出されるバンドの強弱が認められ, HPA-5に関しては判定不可能な程であった. しかしPCR条件等を徐々に改良した結果, 各増幅バンドが検出可能となり判定可能なシステムとなった. 今回の結果より血小板検査において微量検体で簡便なPCR-SSP法は極めて有用であると思われる. 今後も引き続きアガロースゲルの使用など更なる検討を進めていきたい. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |