ゴマの焙煎条件による品質の比較

ゴマの好ましい焙煎条件を知るために, 香り・食味, 抗酸化性の観点から検討を行った.ゴマは, 焙煎する温度や時間を変化させることにより, ナッツ香, ゴマ香, 焦げ臭へと, 香りを変化させていったので, それぞれの香りを有する焙煎ゴマのヘッドスペースベーパーをガスクロマトグラフィーを用いて分析, 検討を行った.食味は, 220℃で焙煎したナッツ香, ゴマ香, 焦げ臭を有する焙煎ゴマを, にぎり飯およびクラッカーに添加したものと, 焙煎ゴマとそれらのゴマ油のみについての官能検査を行い, 検討した.また, 抗酸化性については, 重量法で, 試料のゴマ油を60℃の恒温器中に放置し, 経時的に取り出し...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 45; no. 4; pp. 279 - 287
Main Authors 浅井, 由賀, 福田, 靖子, 竹井, よう子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本家政学会 15.04.1994
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Summary:ゴマの好ましい焙煎条件を知るために, 香り・食味, 抗酸化性の観点から検討を行った.ゴマは, 焙煎する温度や時間を変化させることにより, ナッツ香, ゴマ香, 焦げ臭へと, 香りを変化させていったので, それぞれの香りを有する焙煎ゴマのヘッドスペースベーパーをガスクロマトグラフィーを用いて分析, 検討を行った.食味は, 220℃で焙煎したナッツ香, ゴマ香, 焦げ臭を有する焙煎ゴマを, にぎり飯およびクラッカーに添加したものと, 焙煎ゴマとそれらのゴマ油のみについての官能検査を行い, 検討した.また, 抗酸化性については, 重量法で, 試料のゴマ油を60℃の恒温器中に放置し, 経時的に取り出してその度, 重量増加率を求め検討した.そして, 恒温器に40日放置後のゴマ油の過酸化物価を測定し分析した.その結果, 香りについては, ナッツ香を有する焙煎ゴマは, ピラジン類, フラン類の割合が多く, 軽い香りであり, ゴマ香を有する焙煎ゴマはフラン類の割合が少なくなったが, 香ばしさは強くなった.焦げ臭を有する焙煎ゴマは, 重い香りのする高沸点部の割合が多くなり, 全体のピーク数も減少し, 単調な香りとなった.食味の点では, ナッツ香, ゴマ香を有する焙煎ゴマが良いと判断され, 焦げ臭のするゴマは好まれなかった.抗酸化性の点においては, ナッツ香, ゴマ香を有する焙煎ゴマ油が, 焦げ臭を有する焙煎ゴマ油と同様に安定性があった.これまでの研究では, 褐変がおこり, 焦げ臭が出てこないと抗酸化性が強くあらわれないということであったが, 今回の結果より, 家庭的な焙煎方法を用いて185℃で焙煎し, 短時間の浅妙りであるナッツ香が発生した時点でも, 抗酸化性の生じることが判った.そこで, ゴマを妙るにはゴマが膨張し香ばしいナッツの香り, ゴマの香りが発生した時点で妙り終え, 焦げ臭が発生するまで焙煎しないことが望ましいと判断された.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej1987.45.279