Digital Fluoroscopic Laryngographyを用いた嚥下障害の評価
各種疾患に合併する嚥下障害は, 誤嚥性肺炎など生命予後にも関わる大きな問題である. 今回われわれはDSAを応用したDigital Fluoroscopic Laryngographyを用いて, 誤嚥に関係の深い嚥下第2期(咽頭期)における喚頭挙上と, 頸部角度について検討した. 【方法および対象】 方法は島津製DAR-1200 digital subtraction装置を用いて, 水を飲ませて食道透視像を得, これを計測機能を用いて, 舌骨および甲状軟骨移動距離, 舌骨移動時間を分析した. また, 頸部を中間位, 伸展位, 屈曲位の各肢位で比較した. 対象は正常者5名, 平均年齢29歳(男4名...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; pp. 910 - 911 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1991
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 各種疾患に合併する嚥下障害は, 誤嚥性肺炎など生命予後にも関わる大きな問題である. 今回われわれはDSAを応用したDigital Fluoroscopic Laryngographyを用いて, 誤嚥に関係の深い嚥下第2期(咽頭期)における喚頭挙上と, 頸部角度について検討した. 【方法および対象】 方法は島津製DAR-1200 digital subtraction装置を用いて, 水を飲ませて食道透視像を得, これを計測機能を用いて, 舌骨および甲状軟骨移動距離, 舌骨移動時間を分析した. また, 頸部を中間位, 伸展位, 屈曲位の各肢位で比較した. 対象は正常者5名, 平均年齢29歳(男4名, 女1名), 脳血管障害者(CVAと略す)3名, 平均年齢59歳(男3名), 筋萎縮性側硬化症(ALSと略す)1名, 年齢63歳(男)である. 【結果および考察】 喚頭移動距離は正常群が患者群に比べ短かった. 頸部肢位は両群共に, 屈曲位→中間位→伸展位の順で喉頭移動距離が長かった. 舌骨移動時間は正常群では, 中間位→屈曲位→伸展位の順で短く, 患者群では一定した所見ではなかった. CVAでは, 反復嚥下, 嚥下遅延がみられ, ALSでは, 軟口蓋の閉鎖不全と咽頭内停留が認められた. Digital Fluoroscopic Laryngographyは, 造影剤の代わりに空気や水が使用でき, 安全である. しかも種々の画像処理により各部位の輪郭を明瞭にすることができ, また計測機能により正確な計測が可能で, 嚥下障害の評価に有用と考えられる. <質疑応答> 本多知行(川崎医大):喉頭の挙上以外に前方の動きもdetectできますか. 万歳登茂子:われわれのALSの患者では前方移動が特に大きい所見は認められなかった. 移動距離は, 前方, 上方と2方向計測可能である. 伊藤裕之(座長):(1)中枢性の嚥下障害であっても, 下咽喉や食道の悪性腫瘍による嚥下障害を否定する必要がある. したがって, 造影剤を使用する必要がある. (2)反復嚥下のために喚頭の挙上が悪いと述べられたが, 喚頭挙上が悪いために嚥下障害が起きたのであるのではないか. 万歳登茂子:(1)悪性腫瘍に対するcheckは行っていない. 嚥下障害に対する評価にのみ使用している. (2)反復嚥下は咽頭収縮不十分のために起こるというご指摘ありがとうございました. 訂正させていただきます. |
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ISSN: | 0034-351X |