大量輸血による甲状腺機能低下症を合併した再生不良性貧血の1例

大量輸血に続発する甲状腺機能低下症は, 稀ではあるが, 報告されている. その機序は不明の点が多いが, 二次性ヘモクロマトーシスによる可能性が指摘されている. 今回, 我々は, 大量輸血による二次性ヘモクロマトーシスが, 甲状腺機能低下症に関与していることが示唆された症例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 症例は, 25歳の男性. 昭和40年4歳時, 再生不良性貧血・重症型と診断された. 以後, 頻回の輸血, ステロイド内服にて治療されていたが, 昭和61年4月, 貧血の進行が著明となった為, 当科入院となる. 大量の輸血歴, 及び画像診断により二次性ヘモクロマトーシスと診断された...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 33; no. 3; p. 327
Main Authors 垣内美香子, 和泉清, 高野宏平, 立花法子, 福原敬, 小林正伸, 岡部實裕, 桜田恵右, 宮崎保, 宝金秀一, 相沢幹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1987
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ISSN0546-1448

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Summary:大量輸血に続発する甲状腺機能低下症は, 稀ではあるが, 報告されている. その機序は不明の点が多いが, 二次性ヘモクロマトーシスによる可能性が指摘されている. 今回, 我々は, 大量輸血による二次性ヘモクロマトーシスが, 甲状腺機能低下症に関与していることが示唆された症例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 症例は, 25歳の男性. 昭和40年4歳時, 再生不良性貧血・重症型と診断された. 以後, 頻回の輸血, ステロイド内服にて治療されていたが, 昭和61年4月, 貧血の進行が著明となった為, 当科入院となる. 大量の輸血歴, 及び画像診断により二次性ヘモクロマトーシスと診断されたが, 同時に甲状腺機能検査にて, T_3 0.66ng/ml, T_4 4.8μg/dlと機能低下を示した. 患者は9月12日, 心不全にて死亡し, 剖検した結果, 甲状腺への鉄沈着が, 病理学的にも証明され, 甲状腺機能低下の原因が二次性ヘモクロマトーシスであることが示唆された.
ISSN:0546-1448