日本人では稀な抗K抗体について

1946年Coombs, Mourant&Raceらが, Kell婦人から見出した抗体である抗K抗体は, 輸血事故, 不適合妊娠の原因にもなり得る. 日本人で殆んどがK(-), k(+)型であることから本抗体を産生することは非常に稀とされている. 今回, 我々は1卵性双生児の1児に抗K抗体を検出したので報告する. 患者は2歳の女性. 特発性血小板減少症. 輸血歴は父親から250ml, 叔父より100mlの生輸血を受けている. この時, 副作用はなかった. その後, 濃縮血小板血漿を輸血, 軽度の発熱反応があった. その後の抗体スクリーニングで凝集が認められ, 当センターへ精検依頼された...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 29; no. 6; p. 716
Main Authors 藤原義一, 高島国晴, 金子園明, 浜中栄一, 高橋智哉, 永松一明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1984
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ISSN0546-1448

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Summary:1946年Coombs, Mourant&Raceらが, Kell婦人から見出した抗体である抗K抗体は, 輸血事故, 不適合妊娠の原因にもなり得る. 日本人で殆んどがK(-), k(+)型であることから本抗体を産生することは非常に稀とされている. 今回, 我々は1卵性双生児の1児に抗K抗体を検出したので報告する. 患者は2歳の女性. 特発性血小板減少症. 輸血歴は父親から250ml, 叔父より100mlの生輸血を受けている. この時, 副作用はなかった. その後, 濃縮血小板血漿を輸血, 軽度の発熱反応があった. その後の抗体スクリーニングで凝集が認められ, 当センターへ精検依頼された例である. 血液型は, O, CCDee, MNss, kk, Kp(a-b+), Fy(a+b-), 抗体スクリーニングは, 食塩水法(-), ブロメリン法(-), 間接Coombs法は, K(+)球を用いた時陽性. 抗白血球抗体;陽性. 抗血小板抗体(蛍光抗体法);陰性. なお, もう1児は輸血歴もなく型抗体は陰性であった.
ISSN:0546-1448