ヒト血清ハプトグロビンの溶連菌凝集作用について

ハプトグロビン(Hp)は主として血清中に存在する糖蛋白質で(169.5±57.6mg/100ml), α_2 -グロブリン画分に属している. また, Hpは遊離ヘモグロビン(Hb)と容易に結合して安定した複合体を形成する. このHp-Hb複合体が生体内において形成された場合, 分子量が150万以上となり, 腎糸球体を通過しにくく, 容易に肝細胞に取り込まれ, 急速に循環血液中より消失して行く. 即ち, HpはHbと密接に関係し, 生体内で生じたHbを生体外に排泄することなく, これを生体内に貯蔵し, 鉄の消耗を防止するものと考えられている1). それ故, Hpは溶血性腎障害の予防・治療に有効で...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 28; no. 3; pp. 308 - 310
Main Authors 中島常隆, 土居卓治, 船越哲, 須山忠和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.06.1982
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Summary:ハプトグロビン(Hp)は主として血清中に存在する糖蛋白質で(169.5±57.6mg/100ml), α_2 -グロブリン画分に属している. また, Hpは遊離ヘモグロビン(Hb)と容易に結合して安定した複合体を形成する. このHp-Hb複合体が生体内において形成された場合, 分子量が150万以上となり, 腎糸球体を通過しにくく, 容易に肝細胞に取り込まれ, 急速に循環血液中より消失して行く. 即ち, HpはHbと密接に関係し, 生体内で生じたHbを生体外に排泄することなく, これを生体内に貯蔵し, 鉄の消耗を防止するものと考えられている1). それ故, Hpは溶血性腎障害の予防・治療に有効であり, 製剤化研究については第22回本会総合で報告した2). 一方, HpはG群に属する特定の溶連菌に対して特異的に結合し, 凝集させる作用のあることが報告されている3, 4). そこで, Hpの溶連菌(Streptococci)に対する凝集作用について再検討すると同時に, この凝集作用が感染に対する生体防御の一役を担っているかどうかを調べる一環として, in vitroにおける検討を行なった.
ISSN:0546-1448