装着時の苦痛を軽減するため当院で試作した人工骨頭置換術後外転枕

「目的」大腿骨頭置換術後脱臼予防のため外転枕が使用されているが, 従来使用していた市販のものは側臥位の時に不安定で大きすぎるため使いづらく患者は苦痛であった. 我々は患者の苦痛と危険を軽減させる目的で独自の外転枕を試作した. 「方法, 結果」枕の作成にあたっては側臥位での安定感が得られること, 健側下肢や上半身が動いても安全であること, 苦痛なほどの極端な外転角度にならないこと等の点に考慮した. 具体的には患肢を支持する面積を広げ, 素材には流動性に富んだ発泡スチロール性のパールを使用し, 患肢の内旋屈曲の予防のために筒状の布とベルトで包みこむようにした. 試作枕を股関節の健常な20人に装着し...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; p. 1075
Main Authors 田口浩之, 瀬名波良永, 仙波早苗, 菅瑞江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」大腿骨頭置換術後脱臼予防のため外転枕が使用されているが, 従来使用していた市販のものは側臥位の時に不安定で大きすぎるため使いづらく患者は苦痛であった. 我々は患者の苦痛と危険を軽減させる目的で独自の外転枕を試作した. 「方法, 結果」枕の作成にあたっては側臥位での安定感が得られること, 健側下肢や上半身が動いても安全であること, 苦痛なほどの極端な外転角度にならないこと等の点に考慮した. 具体的には患肢を支持する面積を広げ, 素材には流動性に富んだ発泡スチロール性のパールを使用し, 患肢の内旋屈曲の予防のために筒状の布とベルトで包みこむようにした. 試作枕を股関節の健常な20人に装着し, 使用時の感想, 側臥位での股関節の他動的可動域, 側臥位での体圧分布について調査した. その結果, 装着時の苦痛はかなり減少し, 安全な治療肢位の確保も可能であると考え, 術後患者にも装着した. 現在までに脱臼例はなく, 両方の枕を試した12人の患者には従来枕より我々の試作枕の方が安定感があり苦痛が少ないと好評である. 「結論」我々の試作枕は脱臼予防に有効で, 安定性に優れており従来の枕に比べて患者の苦痛をかなり緩和していると考える.
ISSN:0034-351X