Multiple miliary osteomas of the skin発現に関する臨床, X線学的研究
Multiple miliary osteomas of the skin(M.M.O.S.)は顔面の皮膚に発現し, 稀な病変とされているが, 我々は本病変が通常の歯科X線写真検査で偶然に発見されることがあり, しかも, 従来考えられていた以上に発現頻度が高いこと, またさらに本病変のX線写真像の特徴について報告してきた. 今回, 我々は本病変の臨床X線学的検索結果に加えて解剖遺体により, ソフテックス, 走査電顕による観察を行い, 本病変の発現に関して若干の知見を得たので報告した. 我々はすでに2089名の咬合型X線写真を調査し, 45名, すなわち2.2%の発現率が見られたことを報告した....
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Published in | 歯科放射線 Vol. 36; no. 2; p. 117 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
30.06.1996
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ISSN | 0389-9705 |
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Summary: | Multiple miliary osteomas of the skin(M.M.O.S.)は顔面の皮膚に発現し, 稀な病変とされているが, 我々は本病変が通常の歯科X線写真検査で偶然に発見されることがあり, しかも, 従来考えられていた以上に発現頻度が高いこと, またさらに本病変のX線写真像の特徴について報告してきた. 今回, 我々は本病変の臨床X線学的検索結果に加えて解剖遺体により, ソフテックス, 走査電顕による観察を行い, 本病変の発現に関して若干の知見を得たので報告した. 我々はすでに2089名の咬合型X線写真を調査し, 45名, すなわち2.2%の発現率が見られたことを報告した. 発現年齢は31歳から83歳に及び, 平均年齢は55歳. 両側性で分布密度も対称的で頬部とオトガイ部に見られる事, 腫瘍等の病変と重なり合う事もあり, 注意を要するなどを報告した. 今回調査した解剖遺体は33例(男:19例, 女:14例)で, 年齢は39歳から92歳で, 平均年齢は71.8歳であった. 分布密度はかなり個体差があるものの, M.M.O.S.は全例の顔面皮膚にみられ, 頬部, オトガイ部のみならず, 下顎角部, 額にも分布していた. 走査電顕所見では球状を呈したM.M.O.S.の表面は比較的スムースで, 数個の小孔がみられ, 強拡大所見では小孔はM.M.O.S.の皮質を穿孔し, 内部へと走行していた. 割面は層版状構造を呈し, 中空状であった. 結論:歯科X線写真検査にあたり, 特に高齢患者を対象とした場合は歯科医はM.M.O.S.の存在を考慮して, 読影する必要があろう. M.M.O.S.の発現は加齢による代謝機能低下が関与している事は当然考えられるが, 高齢者でも, かなりの個体差がみられることや, 若年層にも発現し得る事から, 過カルシウム血症や過燐酸塩血症などの代謝性病変との関連性も考えられる. さらに本病変の研究は異所性骨形成のメカニズムの解明にも役立つことが期待される. |
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ISSN: | 0389-9705 |