高齢大腿切断者が義足歩行を獲得するために必要な体力についての検討
「目的」高齢大腿切断者の義足歩行能力と体力を評価し, 高齢切断者が義足歩行を遂行するために必要な体力レベルを検討する. 「対象」当センターで過去義足訓練を受けた片側大腿切断者31名. 調査時年齢は平均67.0歳. 切断原因は血流障害15名, 外傷その他16名. 「方法」切断者は調査時に平地を歩いてもらい, 歩行補助具の使用状況で自立歩行群(歩行補助具なし, あるいは1本杖使用)19名, 部分自立歩行群(2本杖使用)12名に分類した. 全例調査時に残存下肢による片脚エルゴメータ負荷テストを行い, 酸素摂取量を測定した. 「結果」運動時最大酸素摂取量の予測最大酸素摂取量に対する割合(%VO_2 m...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; pp. 913 - 914 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1999
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」高齢大腿切断者の義足歩行能力と体力を評価し, 高齢切断者が義足歩行を遂行するために必要な体力レベルを検討する. 「対象」当センターで過去義足訓練を受けた片側大腿切断者31名. 調査時年齢は平均67.0歳. 切断原因は血流障害15名, 外傷その他16名. 「方法」切断者は調査時に平地を歩いてもらい, 歩行補助具の使用状況で自立歩行群(歩行補助具なし, あるいは1本杖使用)19名, 部分自立歩行群(2本杖使用)12名に分類した. 全例調査時に残存下肢による片脚エルゴメータ負荷テストを行い, 酸素摂取量を測定した. 「結果」運動時最大酸素摂取量の予測最大酸素摂取量に対する割合(%VO_2 max)は, 自立歩行群で平均63.6, 部分自立歩行群で平均46.4であり, 両者間に有意差が認められた. Fisherの直接確率法による検討では, 切断原因は歩行能力を左右する因子とはなりえなかった. 「考察」高齢大腿切断者が義足歩行獲得に失敗する原因は多くの場合, 義足歩行に要する運動負荷量が彼らの運動遂行能力, 即ち体力を上回るからである. 従って義足処方前に彼らの体力を適切に評価できれば, ある程度見通しを持ったリハビリテーションが可能となる. 本研究では義足歩行自立群の%VO_2 maxは平均で60を上回っていた. 60%VO_2 maxの運動強度は50~70歳代のAT値にほぼ相当し, ややきつい程度の運動負荷量であることを考えると, 高齢切断者が実用的な義足歩行を獲得するためには60%VO_2 max程度の運動が遂行可能な体力が必要であることが示唆された. |
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ISSN: | 0034-351X |