A young female with pulmonary thromboembolism: should she receive inferior vena cava filter implantation?

症例は, 27歳, 女性. 6月中旬, 階段昇降で突然の右下腹部痛を自覚した. 症状出現より2日後, 耐え難い右下腹部痛となったため, 当院内科外来を受診した. 胸・腹部・下肢静脈造影CT撮影検査で右膝窩静脈から右総腸骨静脈に血栓を認め, 右肺動脈下葉枝にも血栓が描出され, 中枢型深部静脈血栓症, 肺血栓塞栓症と診断し, 即日入院となった. 第1病日に緊急一時留置型下大静脈フィルター留置を行った. 留置後よりへパリン持続点滴ならびにワルファリン内服による抗凝固療法を開始した. 14日間にわたって抗凝固療法を行うも, 肺動脈血栓は消失したが右膝窩静脈から右総腸骨静脈血栓は全く縮小しなかった. 第...

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Published inShinzo Vol. 44; no. 5; pp. 604 - 609
Main Authors Sekizuka, Hiromitsu, Sakane, Takeshi, Miyake, Fumihiko, Misu, Kazuhiko, Wakabayashi, Kyoko, Tsuchiya, Katsuhiko, Tokumaru, Atsushi, Tanaka, Osamu
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japan Heart Foundation 2012
公益財団法人 日本心臓財団
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.604

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Summary:症例は, 27歳, 女性. 6月中旬, 階段昇降で突然の右下腹部痛を自覚した. 症状出現より2日後, 耐え難い右下腹部痛となったため, 当院内科外来を受診した. 胸・腹部・下肢静脈造影CT撮影検査で右膝窩静脈から右総腸骨静脈に血栓を認め, 右肺動脈下葉枝にも血栓が描出され, 中枢型深部静脈血栓症, 肺血栓塞栓症と診断し, 即日入院となった. 第1病日に緊急一時留置型下大静脈フィルター留置を行った. 留置後よりへパリン持続点滴ならびにワルファリン内服による抗凝固療法を開始した. 14日間にわたって抗凝固療法を行うも, 肺動脈血栓は消失したが右膝窩静脈から右総腸骨静脈血栓は全く縮小しなかった. 第17病日に感染, 出血, フィルターへの血栓付着などの可能性を考慮し, 一時留置型下大静脈フィルターを抜去した. その後, 永久留置型下大静脈フィルター留置やカテーテル血栓溶解療法などは施行せずにワルファリン内服による抗凝固療法下での弾性ストッキング着用, 積極的な歩行などの理学療法を継続し, 第24病日退院とした. 外来でワルファリン内服継続の下, 下肢静脈超音波検査で血栓の縮小, 下肢静脈の血流再開が確認された.入院中に抗凝固療法でも深部静脈血栓の縮小を認めなかった. 挙児希望のある若年女性であり, 危険因子の把握, 下大静脈フィルターの適応, 抗凝固療法の継続期間など啓発的問題点の多い症例であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.604