ABO血液型minor mismatch生体部分肺移植後に赤血球造血抑制がみられた一例
ABO血液型不適合臓器移植では, 移植臓器と共に移入されたドナーリンパ球により抗体が産生されることが知られている. 今回, ABO血液型minor mismatch生体部分肺移植を経験し, 抗体価と網状赤血球数の推移を追ったので報告する. 「症例」 患者は29歳, B型女性. 平成7年1月に再生不良性貧血と診断され, 同年12月にA型の非血縁ドナーから骨髄移植を受けた. 造血機能は回復したが, 平成8年9月にGVHDに起因する閉塞性細気管支炎を発症し, 呼吸機能は進行性に低下したため, 平成12年1月に肺移植を希望して当院第二外科に入院した. 日本臓器移植ネットワークに肺移植待機患者として登録...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 209 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.2001
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | ABO血液型不適合臓器移植では, 移植臓器と共に移入されたドナーリンパ球により抗体が産生されることが知られている. 今回, ABO血液型minor mismatch生体部分肺移植を経験し, 抗体価と網状赤血球数の推移を追ったので報告する. 「症例」 患者は29歳, B型女性. 平成7年1月に再生不良性貧血と診断され, 同年12月にA型の非血縁ドナーから骨髄移植を受けた. 造血機能は回復したが, 平成8年9月にGVHDに起因する閉塞性細気管支炎を発症し, 呼吸機能は進行性に低下したため, 平成12年1月に肺移植を希望して当院第二外科に入院した. 日本臓器移植ネットワークに肺移植待機患者として登録されたが, 長期の待機期間が予測されたため, 家族の希望により, 平成12年5月, 共にO型の母親と弟からの生体部分肺移植が実施された. 術前の患者血液型は, オモテ試験A型, 血清中の抗A・抗B抗体は共に認められなかった. 術後11日目に血清中の抗A-IgGと血球DT解離液中の抗A抗体, 12日目に抗A-IgMを検出した. この時点で患者に著明な溶血は確認できなかったが, 13日目よりHbが低下し始め, 15日目Hb7.5g/dlとなったため, 7日間にわたりO型洗浄赤血球12単位を輸血した. 血球DT解離液中の抗A抗体価は17日目に16倍となったが, 19日目より低下し, 23日後に陰性となった. 血清中の抗A-IgG,IgMはその後も上昇し, 26日目に抗A-IgG32倍, 30日目に抗A-IgM8倍となったが, その後低下し始めた. 抗A抗体価上昇期間中, 網状赤血球数は低値であったが, 抗体価の低下した51日目には増加を確認できた. 現在, 通院にて経過観察中である. |
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ISSN: | 0546-1448 |