Calcifying odontogenic cyst associated with odontomaのX線像と本疾患についての文献的考察

Calcifying odontogenic cyst(COC)は, 歯原性上皮に由来する嚢胞様病変で, 上皮内にghost cellが出現し, その石灰化がみられることを特徴としている. 本病名は, 1962年にGorlin et al.によって付けられたものである. それ以前には非定型的なエナメル上皮腫, 歯牙腫の特殊型などと記述されていた. 現在, 本疾患はWHOの分類(1992年)において歯原性の良性腫瘍に分類されている. しかし, まだまだ不明な部分が多く, これが腫瘍性病変で嚢胞は二次的なものか, 嚢胞そのものであるか, 両者のいずれでもあるのか, これからも議論が続くことであろう...

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Published in歯科放射線 Vol. 39; no. 3; pp. 186 - 187
Main Authors 黒柳錦也, 山本一普, 西川慶一, 小林紀雄, 澁谷仁志, 早川吉彦, 和光衛, 野間弘康, 井上孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 30.09.1999
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ISSN0389-9705

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Summary:Calcifying odontogenic cyst(COC)は, 歯原性上皮に由来する嚢胞様病変で, 上皮内にghost cellが出現し, その石灰化がみられることを特徴としている. 本病名は, 1962年にGorlin et al.によって付けられたものである. それ以前には非定型的なエナメル上皮腫, 歯牙腫の特殊型などと記述されていた. 現在, 本疾患はWHOの分類(1992年)において歯原性の良性腫瘍に分類されている. しかし, まだまだ不明な部分が多く, これが腫瘍性病変で嚢胞は二次的なものか, 嚢胞そのものであるか, 両者のいずれでもあるのか, これからも議論が続くことであろう. 事実, 本病変の病理像は多彩であることから, 本邦においても症例報告が多い. しかも, X線学的に興味あることとして, 歯牙腫を伴う例も半数近くあるとされている. 今回は, 本病変中に歯牙腫を含むものを対象として, そのX線像を検討し, 文献的に考察した結果について報告する. 症例は, 東京歯科大学千葉病院歯科放射線科を訪れた患者で, 病理学的にcalcifying odontogenic cyst associated with odontoma(COCaO)と診断された7症例である. 男女比は2:5, 年令は7~16才, 部位は全て下顎で犬・小臼歯部に多かった. 複雑性歯牙腫が5例であったが, 嚢胞様像を示さないののが1例あった. 病巣は全例で手術時に一塊として摘出された. 歯牙腫は嚢胞壁に存在し, 集合性歯牙腫では歯冠を内腔に向けて植立する傾向にあった. このことは, すでに枝ら(1971), Praetoriusら(1981)が全割標本において明らかにしている. COCは, Gorlin et al.の命名以来, さらにはWHO分類において腫瘍とされた後でも, その本態について数々の異論があり, その位置が定まっていないと思われる. 事実, Farmanら(1978)はCOCに対してghost cell cystの名称を提案している. Hirshbergら(1994)はsimple COCからCOCaOを分離独立した疾患にするべきと述べ, odontocalcifying odongenic cystの名称を提唱している. また, ごく最近の1998年にToidaらは新分類を発表している. 今後の検討に際しても我々の間において必ずしも意見の一致をみなかった. しかし, Odontomaが混合腫瘍であることから, 今のところ歯を形成したCOCaOは単なるCOCから独立させ, ghost cell cyst-odontoma, Odonto COC等とするのが適切ではないかとの意見が有力であった.
ISSN:0389-9705