Cis AB型と思われた1症例
発端者は34歳の女性, 出産後, 児が低体重出生児の為, 本学病院に入院. 児はおもて試験で, O型と判定された. 本人は, 抗A_1 , 抗B, 抗A, B血清いずれとの間とも反応が認められた. しかし, 抗A_1 , 抗B血清に対する反応はそれぞれ64倍, 32倍で対照A, B血球(256倍)に対するよりも弱く, しかも抗A, レクチンとは全く反応せず, 抗Hレクチンとは64倍とO型対照(128倍)とほぽ同じ程度に反応した. うら試験では, B血球とのみ低温で反応し, 凝集素価は2倍であった. 唾液中には, A型物質, B型物質, H物質が認められたが, B型物質は8倍と少量の分泌であった...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 413 - 414 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.07.1986
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 発端者は34歳の女性, 出産後, 児が低体重出生児の為, 本学病院に入院. 児はおもて試験で, O型と判定された. 本人は, 抗A_1 , 抗B, 抗A, B血清いずれとの間とも反応が認められた. しかし, 抗A_1 , 抗B血清に対する反応はそれぞれ64倍, 32倍で対照A, B血球(256倍)に対するよりも弱く, しかも抗A, レクチンとは全く反応せず, 抗Hレクチンとは64倍とO型対照(128倍)とほぽ同じ程度に反応した. うら試験では, B血球とのみ低温で反応し, 凝集素価は2倍であった. 唾液中には, A型物質, B型物質, H物質が認められたが, B型物質は8倍と少量の分泌であった. 血液型転換酵素活性は, A, B共に測定感度以下であった. その他の血液型は, CcDEe, P_1 (+), Ns, kk Le(a-b+)Fy(a+b+), Jk(a+b+)であった. 家系調査では, 発端者の夫はA型, 子供3人は全てO型, 発端者の兄姉3人と父親は全てB型であった. 母親は亡くなっていて検査できなかったが, 家系調査結果から見て, A_2 B_3 と推定された. 以上の検査成績より, 本症例の血液型はCis AB型(A_2 B_3 )と考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |