失語症者の格助詞産出:諸条件の影響
【目的】本研究では失語症者の格助詞産出における以下の4条件の影響について検証した. (1)「がをに」など文法機能を表す格助詞(構造格)と, 「でからより」など助詞そのものが意味をもつ格助詞(内在格)の違い, (2)主語の提示の有無による影響, (3)話し言葉での名詞と助詞の結合率の影響, (4)名詞に対する動詞の意味の結びつきの強さによる影響. 【方法】軽度~重度の失語症者47名(流暢タイプ28名, 非流暢タイプ19名)を対象とし, 課題文は助詞の種類と主語の有無の2×2条件の合計64文(例;タバコ( )吸った父がタバコ( )吸った公園( )遊んだ男の子が公園( )遊んだ). 課題を1文ずつ視...
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Published in | コミュニケーション障害学 Vol. 20; no. 3; p. 171 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本コミュニケーション障害学会
30.12.2003
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ISSN | 1347-8451 |
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Summary: | 【目的】本研究では失語症者の格助詞産出における以下の4条件の影響について検証した. (1)「がをに」など文法機能を表す格助詞(構造格)と, 「でからより」など助詞そのものが意味をもつ格助詞(内在格)の違い, (2)主語の提示の有無による影響, (3)話し言葉での名詞と助詞の結合率の影響, (4)名詞に対する動詞の意味の結びつきの強さによる影響. 【方法】軽度~重度の失語症者47名(流暢タイプ28名, 非流暢タイプ19名)を対象とし, 課題文は助詞の種類と主語の有無の2×2条件の合計64文(例;タバコ( )吸った父がタバコ( )吸った公園( )遊んだ男の子が公園( )遊んだ). 課題を1文ずつ視覚聴覚的に提示し( )の助詞または文全体を発話するよう教示した. 名詞と動詞の意味の結びつきは健常者に5段階評価を依頼し平均値を使用した. 【結果】(1)「を」の課題は「で」の課題より正確に付与できる. (2)主語の提示によって, 他の名詞句につく格助詞産出の負荷が軽くなる. (3)主語の提示による影響は「を」より「で」において顕著である. (4)名詞と助詞の結合率が高いほど格助詞を正確に産出できる傾向がある. |
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ISSN: | 1347-8451 |