十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療の検討

当教室では1995年以前の経験をもとに, 十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療適応基準を, (1) 上部消化管内視鏡検査で穿孔部の確認, (2) 全身状態が安定している, (3) 重篤な併存症がない, (4) 腹膜刺激症状が限局している, (5) 画像上腹水の貯留が少量である, (6) 発症から来院までの時間が12時間以内である, と定め1996年以降の症例で保存的治療を選択している。今回, 1996年~2004年までの症例を対象に保存的治療適応の妥当性について検討した。対象は1996年~2004年の期間の十二指腸潰瘍穿孔74例とした。保存的治療を開始した症例は65例, そのうち58例 (89....

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 26; no. 7; pp. 841 - 844
Main Authors 岩崎, 晃太, 福島, 亮治, 稲葉, 毅, 森田, 直巳, 池田, 佳史, 沖永, 功太, 高田, 忠敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2006
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Summary:当教室では1995年以前の経験をもとに, 十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療適応基準を, (1) 上部消化管内視鏡検査で穿孔部の確認, (2) 全身状態が安定している, (3) 重篤な併存症がない, (4) 腹膜刺激症状が限局している, (5) 画像上腹水の貯留が少量である, (6) 発症から来院までの時間が12時間以内である, と定め1996年以降の症例で保存的治療を選択している。今回, 1996年~2004年までの症例を対象に保存的治療適応の妥当性について検討した。対象は1996年~2004年の期間の十二指腸潰瘍穿孔74例とした。保存的治療を開始した症例は65例, そのうち58例 (89.2%) は保存的治療を完遂し, 手術に移行した症例は7例 (10.8%) であった。この結果より当教室で定めている保存的治療適応基準はおおむね妥当な基準であると考えられた。今後は, よりよい保存的適応基準への改訂と, 手術移行に関する的確な基準の作成が必要であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.26.841