胸水中の扁平上皮癌関連抗原 (SCC抗原) 測定の診断的意義

胸水貯留症例における胸水中のSCC抗原測定の診断的意義を原発性肺癌患者45例, 良性呼吸器疾患患者66例について検討した. cut off 値を4.50ng/mlに設定した場合, 各疾患別の平均値および陽性率は, 扁平上皮癌12例, 10.90ng/ml, 75%, 非扁平上皮癌33例, 4.84ng/ml, 17.6%, 転移性肺腫瘍22例, 5.94ng/ml, 31.8%, 結核性胸膜炎40例, 4.46ng/ml, 34.6%および他の胸膜炎40例, 2.02ng/ml, 2.5%であり, 特に扁平上皮癌患者の胸水は, 良性疾患患者の胸水と比べて有意に高値を示した (p<0.01...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 26; no. 9; pp. 923 - 930
Main Authors 平田, 敏樹, 糸井, 和美, 鈴木, 清, 高橋, 豊, 中野, 豊, レシャード, カレッド
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.09.1988
Subjects
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.26.9_923

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Summary:胸水貯留症例における胸水中のSCC抗原測定の診断的意義を原発性肺癌患者45例, 良性呼吸器疾患患者66例について検討した. cut off 値を4.50ng/mlに設定した場合, 各疾患別の平均値および陽性率は, 扁平上皮癌12例, 10.90ng/ml, 75%, 非扁平上皮癌33例, 4.84ng/ml, 17.6%, 転移性肺腫瘍22例, 5.94ng/ml, 31.8%, 結核性胸膜炎40例, 4.46ng/ml, 34.6%および他の胸膜炎40例, 2.02ng/ml, 2.5%であり, 特に扁平上皮癌患者の胸水は, 良性疾患患者の胸水と比べて有意に高値を示した (p<0.01). このように, 扁平上皮癌におけるSCC抗原値は, 他の何れの組織型よりも高値を示し, 扁平上皮癌の鑑別の1補助手段となりうる. また, その内訳は, 末梢型4例では17.05±16.17ng/ml, 中心型8例では7.75±7.17ng/mlと, 末梢型は中心型に比し高値を示した. 一方, 結核性胸膜炎における陽性率は高いが, ADA値と組み合わせることにより, 癌性のものとの鑑別が可能であった. よって, 胸水SCC抗原値は, 原発性肺癌, 特に扁平上皮癌の鑑別診断において有用と思われた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.26.9_923