閉塞性黄疸における胆道内圧の変動と肝循環動態 急性閉塞性化膿性胆管炎におけるendotoxemiaの発来機構について
急性閉塞性化膿性胆管炎患者にみられるbacteriemiaないしendotoxemiaの発来機構を解明するために, 胆道閉塞イヌの閉塞胆管内へE. Coli 0-26およびこのendotoxinを注入して肝動脈, 門脈血流量を中心とした肝循環動態の変動を測定した. 胆道内圧を一過性に400-550mmH2Oと上昇せしめることによって, 胆道閉塞後1-7週間経過したものはもちろん, 閉塞直後のものでも著しい肝循環諸量の減少, ショック状態を誘発せしめ, endotoxemiaを認めることができた. またTechnovit, Neoprene Latexによる閉塞性黄疸ウサギ肝の鋳型標本, 0.1...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 10; no. 6; pp. 715 - 723 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.11.1977
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 急性閉塞性化膿性胆管炎患者にみられるbacteriemiaないしendotoxemiaの発来機構を解明するために, 胆道閉塞イヌの閉塞胆管内へE. Coli 0-26およびこのendotoxinを注入して肝動脈, 門脈血流量を中心とした肝循環動態の変動を測定した. 胆道内圧を一過性に400-550mmH2Oと上昇せしめることによって, 胆道閉塞後1-7週間経過したものはもちろん, 閉塞直後のものでも著しい肝循環諸量の減少, ショック状態を誘発せしめ, endotoxemiaを認めることができた. またTechnovit, Neoprene Latexによる閉塞性黄疸ウサギ肝の鋳型標本, 0.109μおよび0.481μPolystyrene Latexを標識物質としてイヌおよびウサギの閉塞胆管内へ注入した電顕像で, 胆管系と静脈系の直接交通 (cholangio-venous shunt), 肝細胞, Disse腔, 類洞内へのこれら粒子の流出 (cholangio-venous refluxあるいはjunctional complexの解離による) が認められた. この成績から, 重篤な胆道感染にさいしみられるいわゆるbiliary sepsisないしはbiliary endotoxemiaは, 胆道閉塞による肝の組織構造上の変化に加えて, 胆道内圧の急激な上昇が誘因となって起り得るものと考える. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.10.715 |