全国の国立病院関連施設における劇症肝炎のアンケート調査成績に関する研究(第2報) 病理所見と予後

79例に剖検または肝生検が施行された. これらの肝組織所見を5(I~V)群に分類した. I群(肝細胞障害), II群(肝細胞障害+線維化)の生存した大部分の例は急性型を経過し, 肝組織像は急性肝炎回復期, 非活動性または活動性慢性肝炎の所見であつた. III群(肝線維化+再生結節)の生存した2例はmicronodural cirrhosisの像を示した. I, II, III群では肝不全よりも, 肺感染症, 消化管出血, 腎障害などの合併症による死亡のほうが多かつた. これは適切な合併症対策を講ずれば, もつと予後が良くなることを示唆するものであろう. IV群(亜広範性壊死), V群(広範性壊...

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Published in医療 Vol. 44; no. 7; pp. 739 - 744
Main Authors 井上, 十四郎, 糸数, 憲二, 林, 博隆, 竿代, 丈夫, 吉田, 康洋, 池尻, 公二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.07.1990
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Summary:79例に剖検または肝生検が施行された. これらの肝組織所見を5(I~V)群に分類した. I群(肝細胞障害), II群(肝細胞障害+線維化)の生存した大部分の例は急性型を経過し, 肝組織像は急性肝炎回復期, 非活動性または活動性慢性肝炎の所見であつた. III群(肝線維化+再生結節)の生存した2例はmicronodural cirrhosisの像を示した. I, II, III群では肝不全よりも, 肺感染症, 消化管出血, 腎障害などの合併症による死亡のほうが多かつた. これは適切な合併症対策を講ずれば, もつと予後が良くなることを示唆するものであろう. IV群(亜広範性壊死), V群(広範性壊死)の45例のうち30例は肝不全で死亡した. したがつて, これらの群では合併症によるよりも肝不全による死亡例の方が多かつた. 全体として, 生存例はすべて20日以内に覚醒しIVおよびV群の大部分の例は25日以内に死亡, また20日以上にわたり昏睡が持続する例は予後不良であつた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.44.739