成虫の直接気道吸入にて発症したユスリカ喘息の1例

19歳の女性銀行員にみられたユスリカ喘息の一例を報告した. 患者は富山県東部の黒部川河口付近の純農村地帯に居住している. 耕地は殆んど水田であるが, 同地では毎年, 決って6月中旬にユスリカの成虫が群飛する. 患者は3年前より同時期にユスリカ成虫が眼に入り, 著明な眼険浮腫, 結膜充血をきたすエピソードを数回経験していた. 1985年6月17日, ジョギング中, 空中を飛んでいる虫の一群の中を走りぬけた際, その虫を気管内に吸いこみ, 約30分後, 著明な呼吸困難, 喘鳴, チャノーゼを呈して救急入院した. 入院後, 気管支拡張剤, 副腎皮質ホルモンの投与にて症状は改善した. この場所に群飛し...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 287 - 291
Main Authors 水上, 陽真, 村上, 巧啓, 河合, 幸一郎, 渡辺, 弘之, 五十嵐, 隆夫, 佐々, 学
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.03.1986
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.24.287

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Summary:19歳の女性銀行員にみられたユスリカ喘息の一例を報告した. 患者は富山県東部の黒部川河口付近の純農村地帯に居住している. 耕地は殆んど水田であるが, 同地では毎年, 決って6月中旬にユスリカの成虫が群飛する. 患者は3年前より同時期にユスリカ成虫が眼に入り, 著明な眼険浮腫, 結膜充血をきたすエピソードを数回経験していた. 1985年6月17日, ジョギング中, 空中を飛んでいる虫の一群の中を走りぬけた際, その虫を気管内に吸いこみ, 約30分後, 著明な呼吸困難, 喘鳴, チャノーゼを呈して救急入院した. 入院後, 気管支拡張剤, 副腎皮質ホルモンの投与にて症状は改善した. この場所に群飛していた虫は Tanytarsus oyamai オウヤマチビユスリカと同定された. 同ユスリカより抗原液を作製し, 皮膚テスト, RAST, 吸入誘発試験を施行した. これらのアレルギー学的検査はいずれも陽性であり, ユスリカを抗原とする気管支喘息であることが確認された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.24.287