減圧残油の水素化分解 (第1報) 減圧残油の高水素圧下における熱分解挙動

アラビアン•ヘビー減圧残油の410, 430および450°Cにおける熱分解反応性を, 内容積140mlのマイクロオートクレーブを用い, 水素初圧8MPa, 反応時間0.5~9.5hで調べた。留出油 (C5-560°C, VD) の収率は温度410°Cおよび430°Cでは反応時間とともに増大したが, 反応時間4h以上ではその増加は非常に少なかった。温度450°Cの反応では, 生成した留出油が軽質炭化水素に二次的に分解するので, 2hの反応で留出油の最大収率が得られた。 原料油中のHSに含まれていた硫黄原子はアスファルテン, テトラヒドロフラン不溶分(THFI)および留出留分に移行し, 原料油中の...

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Published in石油学会誌 Vol. 43; no. 5; pp. 321 - 327
Main Authors 三木, 康朗, 本名, 幸作, 荒木, 泰博, 佐藤, 剛一, 島田, 広道
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 石油学会 01.09.2000
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Summary:アラビアン•ヘビー減圧残油の410, 430および450°Cにおける熱分解反応性を, 内容積140mlのマイクロオートクレーブを用い, 水素初圧8MPa, 反応時間0.5~9.5hで調べた。留出油 (C5-560°C, VD) の収率は温度410°Cおよび430°Cでは反応時間とともに増大したが, 反応時間4h以上ではその増加は非常に少なかった。温度450°Cの反応では, 生成した留出油が軽質炭化水素に二次的に分解するので, 2hの反応で留出油の最大収率が得られた。 原料油中のHSに含まれていた硫黄原子はアスファルテン, テトラヒドロフラン不溶分(THFI)および留出留分に移行し, 原料油中の20~45%の硫黄原子が硫化水素として除去された。一方, 原料油中のHSに含まれていた窒素原子は主としてアスファルテンおよびTHFIへ移行した。450°C, 7hの反応では原料油中のHSの96%が分解したが, 残存したHSの窒素含有率が原料油中のHSの窒素含有率の約4倍に増大し, 一方でH/C値は約1/2に減少した。
ISSN:0582-4664
DOI:10.1627/jpi1958.43.321