化学物質の初期リスク評価手法の開発 (3) プレ・スクリーニング手法の開発と初期リスク評価結果による検証

本研究では, PRTR制度対象化学物質の初期リスク評価を効果的に実施するために, 評価の優先順位づけを行う方法を提案し, その有効性を確認した。この方法では, 有害性の強さとPRTR排出量を暴露の程度としてそれぞれ評点化して表し, その積で優先度をつけている。 そして, 有害性評点と暴露量評点を軸とする簡易リスクマップを作成し, 物質問の位置関係を俯瞰的にレビューすることで, 初期リスク評価の優先順位づけが効果的に実施できていることを確認した。 また, 本方法の特徴は, ヒト健康影響と生態影響を分離して扱い, PRTR排出量データを媒体別に考慮したことである。そして, 本方法をPRTR対象10...

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Published in環境化学 Vol. 16; no. 4; pp. 585 - 603
Main Authors 佐渡友, 秀夫, 平井, 祐介, 伊藤, 愛, 村田, 麻里子, 松崎, 寿, 高久, 正昭, 横山, 泰一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本環境化学会 25.12.2006
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Summary:本研究では, PRTR制度対象化学物質の初期リスク評価を効果的に実施するために, 評価の優先順位づけを行う方法を提案し, その有効性を確認した。この方法では, 有害性の強さとPRTR排出量を暴露の程度としてそれぞれ評点化して表し, その積で優先度をつけている。 そして, 有害性評点と暴露量評点を軸とする簡易リスクマップを作成し, 物質問の位置関係を俯瞰的にレビューすることで, 初期リスク評価の優先順位づけが効果的に実施できていることを確認した。 また, 本方法の特徴は, ヒト健康影響と生態影響を分離して扱い, PRTR排出量データを媒体別に考慮したことである。そして, 本方法をPRTR対象100物質の初期リスク評価結果により検証した結果, 優先度評点の高さと評価結果との対応関係が極めて良好であった。 したがって, 本方法が優先順位付けだけでなく, プレ・スクリーニングの方法として有効であることが確認された。さらに, 本方法が単純な原理に基づき透明性の高いやり方で的確に評価結果を予測できることから, 簡易リスク評価手法として一般的に適用できるものと考える。
ISSN:0917-2408
1882-5818
DOI:10.5985/jec.16.585