心臓外科領域における合理的な輸血法の検討
成分輸血法の普及は, 従来新鮮全血を不可欠とした心臓外科領域における輸血法にも大きな利点と変化をもたらしたが, 我々の病院に於ては, 1974年以来心臓手術に成分製剤の使用を試みる様になり, 当時は276例の開心術の31%に, 又非開心術88例の7.9%に成分のいずれかを使用している. しかしこれらの症例を使用した成分の大部分は新鮮凍結血漿(FFP)であり, FFP投与の目的は凝固因子の補給, 蛋白の補給な膠質浸透圧保持にあった. この様にFFP, 血小板の需要が増加すればする程濃厚赤血球(PRC)が余ってくる事になり, このPRCを中心に開心術を成分製剤のみで行う事を検討した. 成分輸血法に...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 280 - 283 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.10.1984
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 成分輸血法の普及は, 従来新鮮全血を不可欠とした心臓外科領域における輸血法にも大きな利点と変化をもたらしたが, 我々の病院に於ては, 1974年以来心臓手術に成分製剤の使用を試みる様になり, 当時は276例の開心術の31%に, 又非開心術88例の7.9%に成分のいずれかを使用している. しかしこれらの症例を使用した成分の大部分は新鮮凍結血漿(FFP)であり, FFP投与の目的は凝固因子の補給, 蛋白の補給な膠質浸透圧保持にあった. この様にFFP, 血小板の需要が増加すればする程濃厚赤血球(PRC)が余ってくる事になり, このPRCを中心に開心術を成分製剤のみで行う事を検討した. 成分輸血法による開心術とその問題点 1977年以来, 成分輸血法で開心術の全経過を行ってfollow出来た症例はチアノーゼ疾患を除く190例である. その内訳はPRC, FFP等を用いた群147例と洗滌赤血球とアルブミンに自家血を使用した群43例に分け, 過去に新鮮全血を用いた50例と, 血液成分の使用状況や血液成分の節約の程度及び副作用としての術後の肝炎の発生率などについて比較検討した. |
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ISSN: | 0546-1448 |