レーザーサーミアに関する基礎的, 臨床的検討

我々は共同研究者の大工園(SLT-Japan)の協力のもとに, 1984年に, Nd:YAGレーザーの低出力照射による局所癌温熱療法(レーザーサーミア)を開発した. 以来, 本療法の腫瘍破壊の機序を解明するため, 種々の基礎的検討を行ってきた. マウス移植腫瘍を用いた, 高出力短時間照射(Tip型接触照射)と低出力長時間照射(レーザーサーミア)との比較実験では照射直後の超音波像, 病理組織像に明らかな違いを認めた. すなわち, 高出力短時間照射では照射直後から, 照射部に凝固, 壊死が生じたのに対し, 低出力長時間照射では照射直後の凝固, 壊死の所見が乏しいにもかかわらず, 照射1週間後には高...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 8; no. 4; p. 86
Main Author 恒川洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 01.03.1988
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Summary:我々は共同研究者の大工園(SLT-Japan)の協力のもとに, 1984年に, Nd:YAGレーザーの低出力照射による局所癌温熱療法(レーザーサーミア)を開発した. 以来, 本療法の腫瘍破壊の機序を解明するため, 種々の基礎的検討を行ってきた. マウス移植腫瘍を用いた, 高出力短時間照射(Tip型接触照射)と低出力長時間照射(レーザーサーミア)との比較実験では照射直後の超音波像, 病理組織像に明らかな違いを認めた. すなわち, 高出力短時間照射では照射直後から, 照射部に凝固, 壊死が生じたのに対し, 低出力長時間照射では照射直後の凝固, 壊死の所見が乏しいにもかかわらず, 照射1週間後には高出力短時間照射と同様の広範な凝固壊死層を認めた. また, レーザーサーミア施行中, コンピューターにより43-44℃に制御, 維持された癌巣部の組織学的変化は照射直後では乏しく, 3時間後から明瞭となった. これらの結果は, 本療法後の癌の変性, 壊死にいたる過程が高出力短時間照射とは異なることを示唆している.
ISSN:0288-6200