室内大気におけるフタル酸エステル類の固相吸着・溶媒抽出法を用いたGC/MS定量法の評価 有害大気汚染物質の分析に関する共同実験 (第8報)

室内空気汚染物質と対象とした分析法には固相吸着・溶媒抽出・ガスクロマトグラフ/質量分析 (GC/MS) 法が採用されている。室内空気汚染物質を対象とした有害化学物質の中からフタル酸エステル類 (DMP, DEP-d4, DPrP, DnBP, DnBP-d4, DPnP, DHxP, BnBP-d4, DcHP, DEHP, DEHP-d4及びDEHA-d8) の12成分について, 固相吸着・溶媒抽出法による分析精度の共同実験を行った。このRound robin試験には16の分析機関が参加した。試料としては3種類の溶液試料を配布した。試料Aは対象物質のヘキサン溶液である。試料Bは試料溶液を捕集...

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Published in環境化学 Vol. 16; no. 3; pp. 425 - 436
Main Authors 今村, 清, 江口, 正治, 大平, 修平, 白國, 忠志, 竹中, 規訓, 田代, 恭久, 立花, 茂雄, 角井, 伸次, 中原, 忠, 福西, 朋子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本環境化学会 29.09.2006
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Summary:室内空気汚染物質と対象とした分析法には固相吸着・溶媒抽出・ガスクロマトグラフ/質量分析 (GC/MS) 法が採用されている。室内空気汚染物質を対象とした有害化学物質の中からフタル酸エステル類 (DMP, DEP-d4, DPrP, DnBP, DnBP-d4, DPnP, DHxP, BnBP-d4, DcHP, DEHP, DEHP-d4及びDEHA-d8) の12成分について, 固相吸着・溶媒抽出法による分析精度の共同実験を行った。このRound robin試験には16の分析機関が参加した。試料としては3種類の溶液試料を配布した。試料Aは対象物質のヘキサン溶液である。試料Bは試料溶液を捕集剤に添加した試料, 試料Cは試料溶液を捕集剤に添加したのち, 300l容量の空気を通気した試料である。捕集剤に内標準物質としてフルオランテン-d8を添加し, 2mlのジクロロメタンを加えて抽出した後, GC/MSを用いて分析した。 DMP, DnBP及びDEHPの3物質に関しては, 溶媒及びブランク試料においても検出され, 約1/3の測定値が欠測となった。試料Aでは, DnBP及びDEHPの2物質を除くと機関内RSDは10%以下であった。機関間RSDはDEHPを除くと7~40%の範囲にあり, 分子量の増大に伴って大きくなる傾向が見られた。試料Bでは, 機関内及び機関間RSDはそれぞれ5~17%, 15~45%の範囲に収まった。試料Cの機関内及び機関間RSDはそれぞれ5~12%, 15~50%の範囲に収まった。 以上の結果から, DMP, DnBP及びDEHPの3物質を除く9成分については重水素同位体を含め十分信頼のできる精度で測定できることが分かった。DMP, DnBP及びDEHPはコンタミネーションの影響或いはカラム分離に関して吸着剤由来のマトリックス効果を受ける可能性があるので測定及び前処理については細心の注意が必要であることが示唆された。
ISSN:0917-2408
1882-5818
DOI:10.5985/jec.16.425