肺葉切除と一期的に経横隔膜的副腎摘出術を行った副腎腫瘤合併肺癌の一例

症例は57歳女性. 左胸部不快感を主訴に当院を受診. 胸部CTにて左下葉に腫瘤を認め, 気管支鏡下擦過細胞診にてadenocarcinomaの結果を得た. また腹部CTにて30mm大の左副腎腫瘍を認めた. 良性腫瘍が疑われたが血液検査でCEAが110ng/mlと高値であり, 肺癌の副腎転移が否定できないため, 一期的に左下葉切除 (ND2a) と経横隔膜的副腎摘出術を施行した. 副腎腫瘍は横隔膜直下に存在し良好な視野のもと容易に摘出することができた. 病理診断では無機能性副腎腺腫であった. 肺癌症例において術前に副腎腫瘤が認められた場合肺癌の副腎転移との鑑別が重要であるが, 困難なことが多い....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 19; no. 5; pp. 665 - 669
Main Authors 鬼塚, 貴光, 小舘, 満太郎, 能勢, 直弘, 井上, 政昭, 安元, 公正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2005
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.19.665

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Summary:症例は57歳女性. 左胸部不快感を主訴に当院を受診. 胸部CTにて左下葉に腫瘤を認め, 気管支鏡下擦過細胞診にてadenocarcinomaの結果を得た. また腹部CTにて30mm大の左副腎腫瘍を認めた. 良性腫瘍が疑われたが血液検査でCEAが110ng/mlと高値であり, 肺癌の副腎転移が否定できないため, 一期的に左下葉切除 (ND2a) と経横隔膜的副腎摘出術を施行した. 副腎腫瘍は横隔膜直下に存在し良好な視野のもと容易に摘出することができた. 病理診断では無機能性副腎腺腫であった. 肺癌症例において術前に副腎腫瘤が認められた場合肺癌の副腎転移との鑑別が重要であるが, 困難なことが多い. また孤立性副腎転移の場合, 症例によっては両病変を切除することで根治性が得られることがある. 以上の理由から肺, 副腎の両病変を同側性に認めた場合, 肺手術と同一創から一期的に行える経横隔膜的副腎切除も考慮すべきであると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.19.665