原発巣手術5年後と7年後に発現し急速に増大した脛骨adamantinomaの肺転移例

長管骨adamantinomaは本邦では稀な悪性骨腫瘍であり, その肺転移症例の報告はわずかに認められるのみである. 今回脛骨adamantinoma術後5年, 7年での肺転移症例を経験したので報告する. 症例は33歳男性. 左脛骨adamantinomaにより下腿切断術を施行した. 術後5年目の経過観察目的の胸部CTで左肺下葉に嚢胞性腫瘤を2ヵ所認めた. 転移性肺腫瘍を疑い, 左肺下葉部分切除術を行った. 術中迅速診でadamantinoma肺転移と診断した. 1年後の胸部CTで再発を認めなかったがその10ヵ月後, 血痰を主訴に来院した. 胸部X線像で左下肺野の浸潤影を認めた. これに対し気...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 19; no. 4; pp. 571 - 575
Main Authors 小池, 加保児, 植田, 信策, 相川, 広一, 井上, 国彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2005
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.19.571

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Summary:長管骨adamantinomaは本邦では稀な悪性骨腫瘍であり, その肺転移症例の報告はわずかに認められるのみである. 今回脛骨adamantinoma術後5年, 7年での肺転移症例を経験したので報告する. 症例は33歳男性. 左脛骨adamantinomaにより下腿切断術を施行した. 術後5年目の経過観察目的の胸部CTで左肺下葉に嚢胞性腫瘤を2ヵ所認めた. 転移性肺腫瘍を疑い, 左肺下葉部分切除術を行った. 術中迅速診でadamantinoma肺転移と診断した. 1年後の胸部CTで再発を認めなかったがその10ヵ月後, 血痰を主訴に来院した. 胸部X線像で左下肺野の浸潤影を認めた. これに対し気管支鏡検査を行い左B9+10入口部を閉塞する腫瘤を認め, 生検でadamantinomaと診断した. 左肺下葉切除術を行った. 病理所見では前回摘出した肺転移に比較しmitosisに富み, より増殖能の高い腫瘤であった. 原発病巣に対する根治術後年数を経て発生した転移ながらその増殖能は高く, 再発した転移病巣はさらに増殖能の高いものであったことから長期間にわたる経過観察が必要であり, 摘出術が予後に寄与すると推測される症例であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.19.571