甲状腺癌に合併した原発性上皮小体機能亢進症の1例

甲状腺濾胞癌に原発性上皮小体機能亢進症を合併した1例を経験したので文献的集計を含めて報告する.症例は51歳, 女性で, 腺腫様甲状腺腫 (25歳), 尿管結石 (50歳) の既往歴があった.集団検診で前頸部腫瘤を指摘されて来院した.甲状腺左葉に5.2×4.2cm大の腫瘤があり, 穿刺吸引細胞診class IVで癌が疑われた.超音波検査で甲状腺左葉背側に径1cm大の小腫瘤があり, 血中のカルシウム, PTHが高値で, 原発性上皮小体機能亢進症の合併と診断した.甲状腺亜全摘+郭清, さらに左下上皮小体腺腫を摘出した.摘出標本では甲状腺左葉上中部の腫瘤は濾胞癌であり, 下極の腫瘤は濾胞腺癌であった....

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Published in北関東医学 Vol. 48; no. 5; pp. 373 - 377
Main Authors 森下, 靖雄, 草場, 輝雄, 勅使河原, 修, 塩谷, 恵一, 行木, 太郎, 石田, 常博
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.09.1998
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.48.373

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Summary:甲状腺濾胞癌に原発性上皮小体機能亢進症を合併した1例を経験したので文献的集計を含めて報告する.症例は51歳, 女性で, 腺腫様甲状腺腫 (25歳), 尿管結石 (50歳) の既往歴があった.集団検診で前頸部腫瘤を指摘されて来院した.甲状腺左葉に5.2×4.2cm大の腫瘤があり, 穿刺吸引細胞診class IVで癌が疑われた.超音波検査で甲状腺左葉背側に径1cm大の小腫瘤があり, 血中のカルシウム, PTHが高値で, 原発性上皮小体機能亢進症の合併と診断した.甲状腺亜全摘+郭清, さらに左下上皮小体腺腫を摘出した.摘出標本では甲状腺左葉上中部の腫瘤は濾胞癌であり, 下極の腫瘤は濾胞腺癌であった.リンパ節転移は認めなかった.上皮小体腺腫としたものも濾胞癌であり, これに付着して上皮小体腺腫が存在していた.術後経過は良好で血清Ca, PTHは正常化した, 甲状腺分化癌に上皮小体機能亢進症の合併は稀であり, 文献的考察を加えて報告した.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.48.373