東北地方北部における夏季の低温時の気温分布 下北丘陵での小気候観測を例にして

東北地方北部における夏季の低温時の気温分布が, 小規模山地の存在により受ける影響を明らかにする目的で, 下北丘陵での2回にわたる小気候観測を実施した。 1984年7月19日の観測では, 太平洋側に限定された低温域が認められた。この低温をもたらした寒気の規模は, 下北丘陵が障壁となる程度に小さいものであった。また, 1987年7月20~21日の観測では, 1984年の寒気よりも低温であり, 気団としてとらえられる寒気が観測された。この時の気温分布は, 低温がピークの日においては下北丘陵による影響は全くみられなかったが, 低温が解消するにつれ, その影響を受けるようになった。 1987年に観測され...

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Published in東北地理 Vol. 41; no. 1; pp. 15 - 24
Main Authors 菅野, 洋光, 岡, 秀一, 前島, 郁雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 東北地理学会 20.03.1989
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Summary:東北地方北部における夏季の低温時の気温分布が, 小規模山地の存在により受ける影響を明らかにする目的で, 下北丘陵での2回にわたる小気候観測を実施した。 1984年7月19日の観測では, 太平洋側に限定された低温域が認められた。この低温をもたらした寒気の規模は, 下北丘陵が障壁となる程度に小さいものであった。また, 1987年7月20~21日の観測では, 1984年の寒気よりも低温であり, 気団としてとらえられる寒気が観測された。この時の気温分布は, 低温がピークの日においては下北丘陵による影響は全くみられなかったが, 低温が解消するにつれ, その影響を受けるようになった。 1987年に観測された寒冷な気団の性格を明らかにするために, 梅雨期に低温をもたらした寒冷な気団 (1985年6月10日) と, その性質を比較した。その結果, 梅雨期の気団 (寒帯気団) の方が気温・相当温位ともにかなり低いことがわかった。このことが, 両者が異なった気団であることを示しているのか, あるいは梅雨期の寒帯気団が季節の推移と共にその性質を変えたことを示しているのか, 明らかではなく, 今後検討していく必要がある。
ISSN:0387-2777
1884-1244
DOI:10.5190/tga1948.41.15