不測の大量出血に対する代用血漿 hydroxyethyl starch (Hespander®) を使用した限定的血液希釈の経験
術中, 不測の大量出血を生じた14症例に緊急的に hydroxyethyl starch (6%, MW 3~4万, HES) を大量使用した限定的血液希釈法を試みた. 平均出血量9,510mlに対して晶質液は6,200ml, またHESは3,500mlを使用した. 輸血量は出血量の平均63%であった. 血圧, 脈拍等の循環は良好に保たれ, 尿量も平均2ml/kg/hrを得た. 肺での酸素化能も良好で肺内シャントは減少の傾向を示した. 希釈により減少した血小板数は新鮮血輸血で回復したが, 粘着能は回復しにくかった. しかし, 活性凝固時間の回復は早く, 術中, 術後にわたって創部からの出血傾向...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 4; no. 1; pp. 53 - 61 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
15.01.1984
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ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.4.53 |
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Summary: | 術中, 不測の大量出血を生じた14症例に緊急的に hydroxyethyl starch (6%, MW 3~4万, HES) を大量使用した限定的血液希釈法を試みた. 平均出血量9,510mlに対して晶質液は6,200ml, またHESは3,500mlを使用した. 輸血量は出血量の平均63%であった. 血圧, 脈拍等の循環は良好に保たれ, 尿量も平均2ml/kg/hrを得た. 肺での酸素化能も良好で肺内シャントは減少の傾向を示した. 希釈により減少した血小板数は新鮮血輸血で回復したが, 粘着能は回復しにくかった. しかし, 活性凝固時間の回復は早く, 術中, 術後にわたって創部からの出血傾向は認めなかった. 不測の大量出血のため準備血液量では不足する場合, 緊急時の循環維持手段として本法は有用であると思われる. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.4.53 |