初発時膵病変を伴い経過中L-asparaginaseによる膵仮性嚢胞を併発した小児non-Hodgkin's lymphomaの1例

小児の悪性リンパ腫で膵へ病変が及ぶことは稀である.今回我々は初発時に膵病変を認め, 経過中にL-asparaglnase (以下L-asp) による膵仮性嚢胞を呈したnon-Hodgkin's lymphoma (以下NHL) の10歳男児例を経験した.1989年11月左頬部腫脹と上腹部痛で当院入院.上顎洞内腫瘤生検によりBcell typeのNHLと診断したが, 同時に膵炎を合併しており, NHLの直接浸潤あるいは圧排によると考えられた.化学療法により寛解となったが, 1990年2月維持療法中にL-aspによる膵炎を合併, 膵仮性嚢胞を形成した.外科的治療を要したが, その後NHL...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 6; no. 5; pp. 488 - 492
Main Authors 宮田, 晃一郎, 中園, 伸一, 西, 順一郎, 川上, 清, 嶽崎, 俊郎, 伊地知, 修, 前野, 伸昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 31.10.1992
Online AccessGet full text
ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.6.488

Cover

More Information
Summary:小児の悪性リンパ腫で膵へ病変が及ぶことは稀である.今回我々は初発時に膵病変を認め, 経過中にL-asparaglnase (以下L-asp) による膵仮性嚢胞を呈したnon-Hodgkin's lymphoma (以下NHL) の10歳男児例を経験した.1989年11月左頬部腫脹と上腹部痛で当院入院.上顎洞内腫瘤生検によりBcell typeのNHLと診断したが, 同時に膵炎を合併しており, NHLの直接浸潤あるいは圧排によると考えられた.化学療法により寛解となったが, 1990年2月維持療法中にL-aspによる膵炎を合併, 膵仮性嚢胞を形成した.外科的治療を要したが, その後NHLの再発を見, 同年7月死亡した.膵炎で発症した悪性リンパ腫は稀で, 過去国外で7例, 本邦で2例の報告がある.本症例は発症時のみならず, 経過中にも薬剤性の膵炎を合併し原疾患の治療に苦慮した.初発時膵病変を伴った症例に対するL-aspの使用には十分な注意が必要と思われた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.6.488