尿中酵素排泄よりみた体外循環中の近位尿細管細胞障害の可能性

体外循環中の腎障害について検討するために, 20人の開心術患者 (成人群11名, 小児群9名) を対象として, 尿中酵素 (γ-GTP, NAG) とCcr, CH2O, FENaを測定した. 成人群では, 体外循環中および後は, 前値に比較してCcrが約30%低下し, さらに尿中γ-GTP排泄量は約2.5倍, 尿中NAG排泄量は約10倍増加した. 前者は尿量と正の相関が認められたが, 後者は相関が認められなかった. また, FENaも増加した. ICU入室後は, 尿中γ-GTPおよびNAG排泄量, FENaは減少したものの, 体外循環前よりもなお高値を示した. 小児群でも同様の傾向が認められ...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 7; no. 1; pp. 93 - 99
Main Authors 竹原, 好文, 安達, 寛, 木原, 薫, 小野, 洋一, 長田, 直人
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.02.1987
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.7.93

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Summary:体外循環中の腎障害について検討するために, 20人の開心術患者 (成人群11名, 小児群9名) を対象として, 尿中酵素 (γ-GTP, NAG) とCcr, CH2O, FENaを測定した. 成人群では, 体外循環中および後は, 前値に比較してCcrが約30%低下し, さらに尿中γ-GTP排泄量は約2.5倍, 尿中NAG排泄量は約10倍増加した. 前者は尿量と正の相関が認められたが, 後者は相関が認められなかった. また, FENaも増加した. ICU入室後は, 尿中γ-GTPおよびNAG排泄量, FENaは減少したものの, 体外循環前よりもなお高値を示した. 小児群でも同様の傾向が認められた. 以上の結果から, 体外循環中は腎機能が低下するとともに, 近位尿細管細胞が障害されている可能性が示唆された.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.7.93