Analysis of changes in medical expenses by category before and after admission to health care facilities for the elderly
目的:介護現場における慢性期の医療ニーズの状況を把握する目的で、東日本の一自治体の医療・介護レセプトを用いて、老人保健施設入所前後の診療区分別医療費の変化について分析を行った。資料及び方法:分析に用いたデータは東日本の一自治体の医科レセプト、調剤レセプト及び介護レセプトである。2017年4月から2019年3月までの間に老人保健施設に入所した者について、入所前の傷病の状況及び診療区分別医療費(診察料等、医薬品費、処置、手術、検査、画像診断、その他、入院)を求め、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後のそれぞれで退所した者について、診療区分別医療費を計算し入所前の医療費との差について検討した。検定...
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Published in | Review of Japan Society of Health Support Science Vol. 8; pp. 93 - 102 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Japan Society of Health Support Science
2023
日本ヘルスサポート学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2188-2924 |
DOI | 10.14964/hssanj.8.93 |
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Summary: | 目的:介護現場における慢性期の医療ニーズの状況を把握する目的で、東日本の一自治体の医療・介護レセプトを用いて、老人保健施設入所前後の診療区分別医療費の変化について分析を行った。資料及び方法:分析に用いたデータは東日本の一自治体の医科レセプト、調剤レセプト及び介護レセプトである。2017年4月から2019年3月までの間に老人保健施設に入所した者について、入所前の傷病の状況及び診療区分別医療費(診察料等、医薬品費、処置、手術、検査、画像診断、その他、入院)を求め、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後のそれぞれで退所した者について、診療区分別医療費を計算し入所前の医療費との差について検討した。検定は対応のあるt検定を行った。結果:対象者数は7,565名であった。ベースライン時(入所1か月前)の傷病の状況をみると、最も有病率の高いのは高血圧性疾患(55.5%)で、要介護度は、介護認定無が51.2%と最も多く、次いで要介護2(13.7%)、要介護3(12.8%)となっていた。性別では女性が62.9%で、そして年齢は平均が85.3歳であった。診療区分別医療費は、手術、画像診断、入院で有意の減少を認めたが、その他の区分については医薬品費を含めて有意の変化を認めなかった。考察:以上の結果は、老人保健施設においては、多様な慢性疾患を持つ高齢者の医学的管理を、所定の介護給付費の枠内で行っていることを示唆するものである。老人保健施設から入院退所となる原因として最も多い傷病は肺炎であることが多くの研究で明らかとなっているが、その原因となる慢性疾患の管理や口腔ケアを老人保健施設で適切に行うことは、対象者の療養生活の質の維持・向上につながるだけでなく、医療介護給付費の増加防止にもつながる。慢性期におけるこの医学的管理の効果について、診療報酬制度及び介護報酬において、適切に評価する必要がある。 |
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ISSN: | 2188-2924 |
DOI: | 10.14964/hssanj.8.93 |