短期間で急速な増大をきたしたIA期肺多形癌の1例

症例は68歳,男性.他疾患で近医を受診した際,胸部レントゲン写真にて異常陰影を指摘された.胸部CT検査でも右肺S6に10mm径の結節影を指摘され,3週間後のfollow up CTでは15mm大へ増大傾向を認めた.FDG-PET検査で同部位に異常集積を認め,SUV4.42で肺癌が疑われた.経気管支肺生検で腺癌が疑われたため,開胸術を施行した.術中病理検査で大細胞癌と診断されたため,右下葉切除術およびリンパ節郭清術(ND2a)を施行した.切除標本の病理組織学的診断は肺多形癌で腫瘍径18mm,病理病期はpT1N0M0,IA期であった.肺多形癌はまれな腫瘍で,術前診断が難しい.腫瘍増大速度が速く,早...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 9; pp. 2301 - 2304
Main Authors 大野, 喜代志, 河野, 恵美子, 山崎, 芳郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.2301

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Summary:症例は68歳,男性.他疾患で近医を受診した際,胸部レントゲン写真にて異常陰影を指摘された.胸部CT検査でも右肺S6に10mm径の結節影を指摘され,3週間後のfollow up CTでは15mm大へ増大傾向を認めた.FDG-PET検査で同部位に異常集積を認め,SUV4.42で肺癌が疑われた.経気管支肺生検で腺癌が疑われたため,開胸術を施行した.術中病理検査で大細胞癌と診断されたため,右下葉切除術およびリンパ節郭清術(ND2a)を施行した.切除標本の病理組織学的診断は肺多形癌で腫瘍径18mm,病理病期はpT1N0M0,IA期であった.肺多形癌はまれな腫瘍で,術前診断が難しい.腫瘍増大速度が速く,早期の血管浸潤による遠隔転移をきたすことが多いため,腫瘍径が小さくても縮小手術より標準肺葉切除を行うことがのぞましい.自験例は腫瘍長径が18mmと小さく長期予後が期待されるが,今後厳重な経過観察が必要と考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2301