Nutritional Intervention as Disease Modifying Therapy in Neurodegenerative Diseases

筋萎縮性側索硬化症(ALS),パーキンソン病(PD),多系統萎縮症など,多くの神経変性疾患において体重減少をはじめとした栄養障害をきたすことが知られている。その原因として,嚥下障害によるエネルギー摂取不足,運動症状(筋萎縮,筋強剛,不随意運動など)によるエネルギー消費量の変化のほかに,疾患に特異的な原因があることが想定される。ALSにおいては体重減少が生命予後予測因子であることが確立されている。その病態生理として,疾患特異的な基礎代謝の亢進,脂質代謝へのシフト,視床下部病変の影響などが相次いで報告されており,また高脂肪高カロリー食治療や体重維持が生命予後を改善させるという報告もされている。AL...

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Published inRonen Shika Igaku Vol. 38; no. 3; pp. 77 - 82
Main Author Shimizu, Toshio
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japanese Society of Gerodontology 31.12.2023
一般社団法人 日本老年歯科医学会
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.38.3_77

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Summary:筋萎縮性側索硬化症(ALS),パーキンソン病(PD),多系統萎縮症など,多くの神経変性疾患において体重減少をはじめとした栄養障害をきたすことが知られている。その原因として,嚥下障害によるエネルギー摂取不足,運動症状(筋萎縮,筋強剛,不随意運動など)によるエネルギー消費量の変化のほかに,疾患に特異的な原因があることが想定される。ALSにおいては体重減少が生命予後予測因子であることが確立されている。その病態生理として,疾患特異的な基礎代謝の亢進,脂質代謝へのシフト,視床下部病変の影響などが相次いで報告されており,また高脂肪高カロリー食治療や体重維持が生命予後を改善させるという報告もされている。ALSにおいては高脂肪高カロリー食療法が新たな疾患修飾治療になりうるかもしれない。 PDも体重減少をきたす疾患であるが,その原因は,嗅覚異常,嚥下・咀嚼障害によるエネルギー摂取障害,消化管運動機能障害,うつ症状,内分泌異常,中枢性食思不振などのほか,振戦や筋強剛によるエネルギー代謝亢進が想定される。ALSと異なるのは,(1)薬物療法により体重が増加すること,(2)体重は寡動と振戦・筋強剛のバランスに影響されること,(3)不顕性誤嚥が多いこと,である。また進行期には難治性の著しい体重減少をきたす。低栄養は全身状態の悪化につながるが,胃瘻造設の基準や有効な栄養療法はいまだに確立されていない。認知症併発期の胃瘻造設については倫理的問題を含めた指針が日本にはなく,今後の課題である。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.38.3_77