好酸球鼻副鼻腔炎の生物学的製剤とその最前線について

鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)は,鼻閉,鼻汁,後鼻漏,嗅覚障害などを特徴とし,患者のQOLを著しく低下させる疾患である。好酸球鼻副鼻腔炎(ECRS)の多くはCRSwNPで,JESREC Studyによりその重症度分類が可能となったが,重症例では術後6年で75%以上が再発することが報告されている。手術や経口ステロイドを投与しても再燃してしまう難治例に対して,2020年に生物学的製剤デュピルマブが保険適用となり,臨床的寛解の達成が期待されている。本稿では,欧州鼻科学会(EPOS 2020)およびEUFOREAの提言に基づくCRSwNPに対する生物学的製剤の適応基準と治療評価方法を概説し,本...

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Published in日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 Vol. 5; no. 1; pp. 9 - 13
Main Author 細矢, 慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 31.03.2025
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Summary:鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)は,鼻閉,鼻汁,後鼻漏,嗅覚障害などを特徴とし,患者のQOLを著しく低下させる疾患である。好酸球鼻副鼻腔炎(ECRS)の多くはCRSwNPで,JESREC Studyによりその重症度分類が可能となったが,重症例では術後6年で75%以上が再発することが報告されている。手術や経口ステロイドを投与しても再燃してしまう難治例に対して,2020年に生物学的製剤デュピルマブが保険適用となり,臨床的寛解の達成が期待されている。本稿では,欧州鼻科学会(EPOS 2020)およびEUFOREAの提言に基づくCRSwNPに対する生物学的製剤の適応基準と治療評価方法を概説し,本邦との相違点を整理した。生物学的製剤は,従来の治療では十分な効果が得られない難治例に新たな治療選択肢を提供するが,その長期使用における治療費や継続期間に関する課題解決が求められる。
ISSN:2435-7952
DOI:10.24805/jiaio.5.1_9